全館空調システムの問題点

全館空調システムとは、ビルや大型商業施設などに利用される冷暖房システムの事で必ずしも省エネで高コスパとなるモノでは無く、どうしても断熱性能を確保出来ない建物を空調する為に作られるシステムである。

大型ショッピングモールや主要都市の駅ビルなんかをイメージして欲しい。アレに気密性能を持たせる事が出来ない事は素人目線でも理解出来ると思う。又、ガラス張りのショールームや自動ドアが多く断熱性能を高める事も不可能だと直感的に理解出来るはず。

あの様な空間を人が活動出来る様に強制的に温度を維持するシステムが全館空調システムになる。

当然、莫大なエネルギーを食う事になるが一般住宅と異なり収益化された建物は、家賃収入で誤魔化す事ができる。

 

視点を変えて考えてみる。

北欧にパッシブハウスが普及出来て日本に普及出来ない理由はなぜか?答えは簡単。

北欧は、全館暖房システムが一般的で暖房器具だけで数百万イニシャルコストが掛かっている。

数百万のイニシャルコストを断熱材に振り分けたらパッシブハウスになる。全館空調システムをやめて高断熱・高気密へ切り替えたのだ。

結果、超高性能な家が一般的に普及した。

 

日本の場合、北海道、東北、長野・山梨・岐阜県等の山間部を除けばそれ程寒い訳ではない。

国土の半分以上が、必要な時に必要な分だけ暖房を使用すれば寒さで凍える事は無く死ぬ思いをしないで済むエリアだ。結果、暖房であればエアコンのみで事が足りる。イニシャルコストは掛かっても30〜50万程度。断熱性能や気密性能が低い状態であってもエアコン数台で生活する事が出来た。

でも、過去◯◯ショックや災害の度に「光熱費が高い」、「家の性能が低い」と断熱性能や耐震性能が底上げされた。その結果、中途半端な性能の住宅が大量生産されている。この状況下で、全館空調システムの流行りがここ数年続いている。

 

住宅の総合展示場を見れば謳い文句を必ず見かける。タチが悪い事に太陽光発電もセットにして販売されている。高額なイニシャルコストを建物本体価格に含ませて莫大な暖房エネルギーを太陽光発電で誤魔化そうとしている。

大型商業施設や駅ビルと同じ事を個人の住宅に落とし込んでいる。家賃収入では無く、太陽光発電の収入と日々の住宅ローンで誤魔化す方法で…

本当に順番が違うと思う。

エアコンに送風ファンを取り付けても使用するエネルギーは変わらず送風ファンの電気代が追加されるだけだ。

熱交換換気に組み込んでいるタイプも頭がどうかしている。送風ファンの後、ダクトの中間に熱源を組み込んでいるモノは内部結露を発生させる。

ダクト内部で温度を変えているのだから結露するのは当たり前の事だ。感覚的に衛生的では無いとわかるはずだ。

この業界の実態は、何も分からない素人が理解をせずに売っているのが現状です。

 

もし、自分の家で提案されたら考えて下さい。

本当に必要なモノは、断熱性能と気密性です。

 

とりあえず以上。