家の特長をPRする難しさ

知人の営業トークが変化していた。

全館空調システムを仕様に組み込んだ事で変化した。

以前は、揶揄していたが自身のモデルハウスへ導入後にPRが全館空調システムのみになっていた。

情けない上に寂しく感じる。

思えば、ソコに行き着く理由は容易に理解出来る。

結局、高性能な家を作っても「PRポイントを作れていない」と良い事だ。

無くて良いモノをあたかも凄い事に膨らませてPRするのはいかがな事か。

『ぶっちゃけ要らない。無くても良い』と言いながらも全館空調を一生懸命PR…

玄人なら家全体をPRしないと…

ソレは設備屋の仕事だ…

御施主様が求めるのは、丁寧に練り込まれた特別な家だと思う。

長い間ローンを組んで使い続ける為に自分自身に納得出来る理由が必要だ。

省エネ性なら計算して性能をあげれば良い。

家の温かさもシュミレーションをしてあげれば良い。

製品はSNS等でいくらでも名前を聞く事が出来る。

詳細納まり等を突き詰める事で生まれるノイズの無い奇麗さ等は素人では思いもつかないはず。本来の建築設計は、今と全く違ったはず。

取って付けた機械は必要無く全館空調だけをPRする家は決して丁寧な手法では無い。

 

以上

 

 

 

換気の排気は床に取り付けた方が良い?

24時間換気の排気を床に取り付けや方が良い。

コレは嘘です。

もっとらしい話を言いながら騙している。

あのメーカーは、10年程前に某FCと一緒に地熱を利用した熱交換換気だとPRしていた。

※地熱というモノは、地下数メートル掘って初めて効果を得られる。30cm程度では地熱は存在しない。割と業界内では有名な話です。

 

24時間換気と言うモノは、一定風量を一定方向に流れを作り空気を入れ替える事です。

 

一時的に発生する大量の汚染物質は、拡散され均一になろうと努力する。

臭気が発生するガス類も空気に対して比重がある為、拡散するスピードが異なるが結果的に均一になろうとする。

 

空気には粘りがあるので排気と給気の一直線に奇麗には流す事は以外と難しいです。

空気の流れを可視化すると思った以上にゆっくり動く事に驚かされる。

 

24h換気の1ヶ所の排気口の吸込み量は、約30㎥/h。

筆者が、大好きなブルーエア社BluePure411(13畳用)で例えると弱運転程度の50%程度の流量です。

*運転レベル弱で60㎥/h 消費電力1.2w(1時間当たり0.037円:31円/kw計算)

ハウスダスト等を気にするなら上記の空気清浄機をオススメします。

 

空気清浄機のデモ動画等を見ればわかると思うが、一時的に煙が出てもすぐに排気される事はなく一旦家中に充満する。

その上でゆっくり空気が浄化される。

24h換気も同じです。

 

結果、『床に排気口を取り付ける事と天井に排気口を取り付ける事は同じ』です。

 

YouTubeで『Blueair Protect 性能試験動画』『BluePure411スモークテスト』『クリーンルーム気流可視化計測システム』『室内換気状況の可視化』で検索すると空気の流れが少しわかると思います。

 

ちなみに『<公式>JR西日本 新幹線の消毒換気の仕組み』は、本当に素晴らしい。

新幹線という特殊な構造の為、壁給気口、座席下排気となっているが結果同じだ。

動画では室内空気が6~8分で入れ替わるので一般住宅とは次元が異なる。

*換気回数でいえば10回/h以上だろう。一般住宅は0.5回/h以上と定められている。

 

要するに一定量の必要な換気を常に行えば、どの様な状況でも空気はきれいになるという事だ。

また、新幹線に乗った経験がある方は分かるだろうが冬に寒さを感じた事は無いはず。

一般住宅の20倍換気している状況でも適切な冷暖房設備の容量を設定していれば、寒さ暑さは無縁になる。この点でも一種換気の必要性に疑問を感じる。

まともな設計をすれば換気をしたから寒い等という事はありません。

JRが新幹線で証明してくれている。

 

室内の排気を冬の外気に熱交換させ床下を温めます。

高気密高断熱住宅は室内すべてが設定温度になります。

断熱性能が高ければエアコン設定温度と床表面温度は同じになります。

もし、熱交換された空気が床下に充満したら?

室温23℃、外気0℃。熱交換効率80% SA温度18℃程度(実際はもう少し下がる。)

床表面温度23℃にSA空気18℃が当たって温まると言うなら驚きだ。

 

友人が自邸を建てるので換気システム選びに悩んでいた。

悲しい事に、例の換気システムのYouTube動画を見て余計に悩んでいた。

笑ってしまうが一連の話を説明して理解したが、素人だとこんなモノだろう。

皆さん深く考えましょう。

 

以上。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建築士のレベルと室内環境

本日、相対湿度と絶対湿度について理解していない設計士が世の中に存在する事がわかった。

とても少数だと信じたいが、相対湿度と温度の関係について理解出来ない方だった。

 

彼は冬に雨と雪の多い地域で木造住宅を設計している。

冬の平均温度は5℃程度、相対湿度は80~90%になる事が多い。

彼の言い分では、この状態の空気は湿気が多いから室内に取り込んだ場合は、湿気が多く部屋がカビる可能性があるので除湿機で除湿した方が良いそうだ。

自分の家では部屋で除湿機を動かしているとの事だ。

 

私は逆に加湿する。理由は、乾燥するから。

外気5℃、相対湿度90%の空気を換気で室内に取り込んで、室温23℃まで温めた場合、室内の相対湿度は30%程度になる。過乾燥では無いが乾燥している。

だから加湿器で加湿する。しっかり換気をして加湿をする。

室内の空気が古くなると空気質が悪くなるので0.5回/h換気を行い加湿をする。

 

この相反する意見は嚙み合う事が無く平行線のままだった。

頭は大丈夫か?と聞きたいレベルだ。

 

相対湿度の説明をしても理解出来ない人間が建築士として存在する事に驚く。

最後まで空気温度5℃相対湿度90%の空気を取り込んでも室内の相対湿度90%になるから冬でも除湿する意見は曲げなかった。

 

そればかりか加湿する意見を笑う始末だった。

除湿機を動かすとタンクは水でいっぱいになるのに、なぜ加湿をするのか?と。

引渡した施主にも、家が寒くなるから換気はせずに除湿機を置くように説明をしているとの事だ。ガラパゴス等のレベルでは無く、建築士として在ってはならないレベルだ。

そして、この状態で断熱等級6や7のUa値を語っていた。

 

もはや、Ua値の計算も正しく理解しているのか疑わしい。

本当に恐ろしい衝撃的な事件だった。

 

こんなレベルの設計士が、施主様に35年ローンを組ませて家を建てているのかと思うと悲しくなる。

 

以上。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理想的な室内環境とは何か

人間は、周囲の物体とのエネルギーの交換がされ収支がプラスであれば暖かく、マイナスであれば涼しく感じます。

冬暖かく夏涼しい家は外部環境からの視点であり室内環境に順化した状態であれば何も感じないニュートラルな状態が理想となります。

 

では、具体的にはどの様な環境となるのか?

 

答えは、いくつかありますが実現可能な範囲で挙げると次の様になります。

 

『周囲の平均輻射温度が18℃に対して空気の温度が22~23℃となり、湿度40〜60%、空気の流れが流速0.3m/h以下となる事です。』この空間でスーツを着て椅子に座った状態が、人と空間のエネルギー収支が±0となり何も感じない環境となります。

これは修正有効温度と言います。

我々が一般的に見ている温度は乾球温度(空気の温度)であり体感温度ではありません。

 

安易に22~23℃がちょうど良いと言うわけでは無く『周囲の平均輻射温度』と『空気の流速』、『人の着衣量や行動量』も関係します。

 

この内容を理解すると、エアコン暖房の設定温度が22〜23℃が良い訳では無いと理解出来るはずです。

 

特に古い家は断熱性能が低いので現実的ではありません。

 

新築でも断熱等級5の家では正直厳しいと思います。

熱伝達計算と熱橋面積比を落とし込むと…

開口部面積が15%で外気0℃と考えると各部位の面積割合と温度は次の様になります。

樹脂窓15%17℃程度、柱14%17%、断熱材の入った壁71%20℃度程となります。

残念ながら樹脂窓ペアガラスでも柱(105)の熱貫流率とほぼ同じとなります。

結果、壁の温度は平均18℃程度になります。

※計算が手間なので加重平均ではありません。

 

エアコン暖房22〜23℃設定では体感20℃程度に下がります。

※計算が手間なので壁と床、天井を同じ表面温度と仮定。

さらにココに気密性能が加わり表面温度が下がります。表面温度が何℃下がる程度は物件の施工精度に依存する為、計算で出す事は出来ません。

 

結果的に気密性能を考慮していない分譲住宅や賃貸住宅ではエアコン暖房22〜23℃設定は寒くなって当たり前なのです。

 

最悪な事を言えば、注文住宅の新築でも断熱等級5程度なら同じ結果に至ります。

 

冬の温度設定は体感温度に素直になりましょう。

寒いなら断熱の設定温度を上げ、光熱費を節約したいなら着衣量を増やす事が賢明です。

 

高気密高断熱(断熱等級6以上)の家以外は、エアコン暖房22~23℃設定でTシャツ短パンでいると寒い設計になっています。

 

以上

 

 

 

 

 

住宅業界(2024年)の現状と迷走

昨日久しぶりに住宅総合展示場を見て来た。

見たと言っても同業なので公園の散歩感覚で各社のストロングポイントを看板で確認した程度。

地元の企業も出展している状況で8割が全館空調システム、1割が床下エアコン、残り1社が断熱等級7と耐震等級3の組み合わせ。

想像通りだったが、冷静に考えると疑問を抱く。

全館空調も床下エアコンも壁掛けエアコンも同じ事。熱エネルギーの収支バランスを整えているだけ。

ぶっちゃけ普通の壁掛けエアコンでも断熱性能が高ければ、エアコン設定温度24℃で床の表面温度は24℃になる。

その最低ラインがC値=0.5以下、断熱等級6以上と言った所だと筆者は理解している。

そんな訳で全館空調、床下エアコン、熱交換換気は、冗談抜きで『金の無駄』だと言いたい。

無駄に金を使うから断熱性能が低くなる。

 

結果的に断熱等級7耐震等級3標準のビルダーのみ本質を理解していると言った所だ。

悲しい事に筆者が見た総合展示場では1社のみだった。

 

なぜ、こんな状況になっているのか?

一言で言えば、素人が多いから。

 

使われる建材の組み合わせに名前をつけて商品と言ったり、組み合わせを考える事を商品開発等と恥ずかしい事を言う輩もいる。

『建築の知識は30%浅く広くお客様へ共感を抱かせればそれで良い。自信を持って商品を提案しています。』この言葉は、偶然行き合った工務店の営業設計の方が言った実際の言葉。

社内で熱計算ソフトも導入しておらず、建材店が持ってくる営業トークで固めた中身のない感じだ。

YouTubeで一生懸命に熱交換換気や全館空調、床エアコンや階間エアコン等PRする工務店の姿を見ると本当に虚しい。

正直、彼らを批判したい訳では無くこの現状を消費者に理解して欲しい。

無駄なモノを提案されて無いか疑問を持って欲しい。

今家作りを相談している相手は、高い確率で素人に毛が生えたレベルです。

 

いい加減に国が是正すべきだ。

 

2級建築士のテキストや問題を中身のある内容にして設計プロセスを明確にすべきだ。

現在でも外皮計算の問題は部分的な計算で1棟丸々計算する問題は存在しない。

壁の構造を設計して定常結露計算の問題も存在していない。

 

正直言って、業界内部では年齢の差関係無く知識の格差が広がり専門的な会話が成立しない人も大勢いる。

 

技術的な事柄は営業の無駄だと言う人もいる始末。

同じ『士』のつく仕事。医者に置き換えたらありえない。

 

本当に恐ろしい。

 

今の住宅価格は建物だけで70〜100万円/坪。

20代で土地込みで購入しても35年間月々14万円程度支払いが発生する。

建て替えは見込めない。

だからこそ、長期使用に耐える造りにすべきだ。

設備は30年使えない。良くて15年が寿命です。

35年前の固定電話は既に世の中には無い。

 

設備で固めた中身のない家を35年以上住み続ける事はキツイよ。

 

断熱性能を上げる事を毛嫌いしても、イニシャルと冷暖房費との比較は長期化すれば効率は上がる。そして、暖かい。

 

業界内部人も消費者も一度立ち止まり考える必要があると思う。

 

愚痴では無く、年長者として思う事でした。

 

以上

 

 

 

 

 

窓選びから学ぶ壁の断熱仕様のあり方

窓の仕様を考えるとアルミ樹脂複合窓は寒冷地には適さない。窓枠が冷えてコールドドラフトが発生するから。

温暖地域に住んでいる方はわからないかも知れませんが窓が冷えると「とても不快で冷たい空気」が窓から床を伝って垂れ下がって来ます。

この現象をコールドドラフトと呼びます。

とても冷たい空気なので素人の方は24時間換気の給気(外気)だと勘違いしますが室内空気の循環で発生する現象です。暖かい空気は上昇して冷たい空気は下降する現象と同じです。

窓枠の断熱性能が低いと窓枠が薄くても家全体に影響を与えます。

だから、まともな設計士は窓を樹脂窓に変更します。

寒冷地でもローコスト思考やモノを知らない勉強不足な設計士は今でも枠が薄いアルミ樹脂複合窓を提案します。

悲しい事に樹脂窓の枠が厚くカッコ悪いと言い樹脂窓を否定する輩もおります。こう言う方々は、「ドリームハウス 全面ガラス張りの家」を調べる事をオススメします。

 

ココで得られる教訓は、熱橋(読み:ねっきょう)は想像以上に室温に悪影響を与えると言う事です。

※熱橋とは、断熱性能が極端に下がり熱を伝えるポイントになる部分です。

では樹脂窓を採用すれば良いのでは?

残念ながら、樹脂窓を採用しても身近な所に熱橋は存在します。それは、家の骨格になる木材です。木材は断熱材と比べて断熱性能は意外と低いです。

(ココから本題)

木材の断熱性能は、高性能グラスウール16k厚み10cmで例えると3.5寸の柱(一般的な柱)で約半分位の断熱性能しかありません。

では、柱はどの位あるのか?

充填断熱(柱と柱の間に断熱材を入れる一般的な方法)を軸に考えると91cmスパンに1本ずつ存在します。細かい事を言えば、91cmの半分の位置に間柱が4.5cm入ります。

※建築業界では全てミリ単位で言いますが一般の方もいるのでcmに換えてます。

 

結果、壁全体で17%位は木部(熱橋)となります。

これを専門用語で熱橋面積比と言います。

 

ココで疑問に思うのは、なぜアルミ樹脂複合窓(熱橋)で懲りたはずなのに柱は無視するのか?

壁全体で17%が樹脂窓と同じ位の断熱性能しかないのになぜ?

答えは、「めんどくさいから」、「外張り断熱を止める専用ビスが心配」、「無駄に金が掛かる」からです。恐らく10名質問したら上記の3点が9割を占めると思います。

でも、考えてみたら10年前の建築業界で『気密』と『樹脂窓』への偏見から採用を拒んだ方々が多かった事を考えればあの当時と同じ事かもしれません。

では、施主はどうすれば良いのか?

答えは、『外張り断熱を基本に付加断熱をオプションで検討すれば良い』です。

意外とシンプル。

外張り断熱を採用して初めて蓄熱効果を体感します。木材が熱を蓄える燃料タンクになります。

具体的には、外気温が下がりきって数時間後に室温が下がりきります。不思議な現象です。

外張り断熱を採用しないと柱から熱が逃げます。

※ココで言う外張り断熱とは湿式外張り断熱と異なります。

 

お金が有るなら選んだ方が良い仕様でした。

 

以上

 

 

 

 

 

 

 

 

 

基礎断熱か床断熱か

どちらが良いのか考える方は多いと思う。

ネット上では、高気密高断熱住宅なら基礎断熱一択と言う設計士が多い様に思える。

 

筆者の考え方は、下記の2点です。

1.寒冷地(凍結深度)がある地域、又は、外気が氷点下を下回る地域は基礎断熱。

寒冷地で基礎断熱を推奨する理由は、給排水や給湯関連に凍結防止用断熱カバー等の施工を省く事が出来るからです。

注意点は白蟻について対策する必要はあります。

 

白蟻対策する必要は有るのですが、筆者は新築で蟻害で苦しむ案件に出会った事がありません。

正直、白蟻保証等の保険付きの基礎パッキンが売れている時点で件数はかなり少なく恐怖営業的なモノだと思ってしまっている所があります。

 

※基礎断熱の断熱基準は一部曖昧な部分があるので高断熱にしたいなら外張り基礎断熱をオススメします。室内側全面断熱材を敷き込む方法もありますがメンテナンス時に床下へ潜り込み事が困難となるので別途工夫が必要となります。

 

※決して床下エアコンが出来るから等の理由ではありません。高断熱にすると床を温かくする必要も無いので床下エアコンにする必要も有りません。

 

基礎断熱の断熱計算で計算上で断熱材を入れなくても暖房負荷への影響が少ない事になる為、今(2023年)でもユニットバス下や玄関土間内部へ断熱材を入れない会社が多いです。

ココは国が計算方法を点検すべき所だと思う。

 

2.温暖地域(凍結深度)が無い地域、又は、外気が氷点下に至らない地域は床断熱。(ただし、床断熱で気密性を確保出来ない会社は基礎断熱をオススメします。)

温暖地域で床断熱をオススメする理由は、基礎下空間を温める必要が無くなるので効率が良くなります。

又、土台・大引き間に落とし込む断熱材の厚みを持たせる事が可能となる上に根太を組めば付加断熱にする事が可能となる為、コスパが良いです。

 

熱橋を最大限に無くすのであれば、外張り基礎断熱(基礎下断熱敷き込み)が一番効果が高いと思いますが、外張り用断熱材(ホウ酸混入断熱材や防蟻剤混入断熱材)が高価なので少し考えモノです。

 

まとめると寒冷地は、基礎断熱。温暖地域は、床断熱がいいと思います。

 

以上