少ないエネルギーで全館連続暖冷房を実現するために理解したい「自然温度差」

快適な室温を維持するために必要な熱エネルギーは、自然界から見るとそれほど大きくありません。とても弱いエネルギーを建物全体に均一に安定させる事が快適な環境へ繋がります。

人体や家電、調理、そして太陽の日射など、暮らしの中では常に熱が生み出されています。

高気密・高断熱住宅は、それらの熱を逃がさず活用することで室内外の温度差を生み出します。

近年、全館空調システムや全館暖冷房(建物全体を空調対象として24時間冷暖房機器を連続運転させる事)が注目されていますが、本当に省エネルギーで快適な住まいを実現するためには、設備の性能だけでなく、断熱・気密性能や冬の日射取得、夏の日射遮蔽といった建物側の設計が欠かせません。その建物設計において重要な要素になるのが「自然温度差」と言う考え方です。

自然温度差とは、暖房や冷房で無理に作り出す温度差ではなく、生活の中で自然に発生する熱を活用することで生まれる室内外の温度差を指します。

住宅内では常に、

・人体の発熱
・家電製品の発熱
・照明の発熱
・調理による発熱
・日射取得による熱

が発生しています。

高断熱・高気密住宅では、これらの熱を効率よく蓄えられるため、暖房設備に大きく依存しなくても室温を維持しやすくなります。

例えば、外気温が5℃でも、家族4人の人体発熱と家電からの発熱、さらに日射取得が加わることで、室温が15~20℃程度まで上昇するケースもあります。

その結果、

・暖房負荷が大幅に低下する
・室温変化が緩やかになる
・快適性が向上する
・エアコン1〜2台で全館を設定温度に保つことも可能になる
・各フロアに1台程度の設置で十分なため、設備面のイニシャルコストを抑えやすいといった効果が得られます。

住宅設計の世界では、

「暖房能力が高い家」ではなく、

「熱を逃がさない家」という発想が重要になります。

自然温度差は、イメージとして次のように表現できます。

自然温度差 = 発生熱量 ÷ 熱損失量

発生熱量が同じであれば、熱損失量が小さいほど大きな温度差を生み出せます。

熱損失量を小さくするのが断熱性能(UA値)であり、その断熱性能を実際に機能させるのが気密性能(C値)です。

つまり、高性能住宅の本質は、

「暖房を強くすること」ではなく、

「自然温度差を大きくすること」にあります。

 

日射取得と日射遮蔽が省エネ性能を決める

自然温度差を語るうえで欠かせないのが、日射取得と日射遮蔽です。

冬は太陽の熱を積極的に取り込み、暖房エネルギーの代わりとして活用します。

適切に設計された住宅では、晴れた冬の日中に暖房運転が停止することも珍しくありません。

一方で、夏は同じ太陽光がオーバーヒートの原因になります。

そのため、

・軒や庇の設計
・窓の配置や大きさ
・ガラス性能の選定
・外付けブラインドやシェード

などによって日射を遮蔽することが重要になります。

冬は取り込み、夏は防ぐ。

この考え方が高性能住宅の基本です。

全館連続暖冷房は建物性能の上に成り立ちます。

住宅のエネルギー収支は、

室内発生熱 + 日射取得熱 - 外へ逃げる熱 = 設備が補う熱

という関係にります。

つまり、省エネ住宅の本質は設備能力を高めることではなく、設備が補う熱量そのものを減らすことにあります。

しかし実際には、「全館空調システムがあるから快適」という説明が先行し、建物性能の重要性が十分に語られないケースも少なくありません。

本来の順番は、

1.外皮性能(UA値)
2.気密性能(C値)
3.冬の日射取得計画
4.夏の日射遮蔽計画
5.換気計画
6.暖冷房計画

この順番を無視して設備ありきで全館空調システムを導入すると、建物が抱える熱負荷を設備で処理し続けることになり、結果としてエネルギーロスの大きな住宅になります。

逆に、

・高断熱
・高気密
・適切な日射取得
・適切な日射遮蔽

が実現されていれば、

・冬場は日差しで暖房停止
・春秋は無暖冷房
・小容量エアコンによる全館冷房

も十分に可能になります。

住宅業界では、「高性能住宅」と「高機能住宅」が混同されることがあります。全館空調システムや高度な設備は高機能かもしれません。しかし、高性能住宅の本質は設備の豪華さではなく建物そのものが熱エネルギーに対して合理的であることです。

設備で快適性を作るのではなく、建物性能で負荷を減らし、その残りを設備で補う。

この考え方こそが、快適で省エネルギーな住まいづくりの基本であり、全館暖冷房を成功させるための出発点なのです。

断熱材の基本

住宅の断熱について考える際、多くの人は「断熱材そのものが熱を止めている」と考えがちです。しかし実際には、断熱材の本質は「乾いた動かない空気の層をつくること」にあります。

 

空気は優秀な断熱材

空気そのものは熱を伝えにくい性質を持っています。ところが、空気が動いてしまったり、水分を多く含んでしまうと話は別です。

暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降するため、空気が循環すると熱も一緒に運ばれてしまいます。これを対流と呼びます。

また、水は空気よりも熱を伝えやすく、水蒸気が移動する際にも熱が運ばれます。そのため、断熱材が湿気を含むと本来の断熱性能が低下する原因となります。

断熱材は、細かな繊維や気泡によって空気を閉じ込め、その動きを抑えることで熱の移動を遅らせています。つまり、断熱材そのものが熱を止めているのではなく、「乾燥した動かない空気の層」を維持することで断熱性能を発揮しているのです。


断熱材と施工の重要性

断熱材には、グラスウールなどの繊維系断熱材や、発泡ウレタン・フェノールフォームなどの発泡系断熱材があります。

種類や形状は異なりますが、いずれも空気を閉じ込めることで断熱性能を発揮するという基本原理は同じです。そのため、どれほど性能の高い断熱材を採用しても、施工方法を誤ると本来の性能を発揮できません。

 

例えば、

断熱材同士の継ぎ目に隙間が生じている
配線や配管まわりの処理が不十分である
断熱材に欠損や施工ムラがある


柱や構造材との取り合い部分に空隙が生じている
といった状態では、熱や空気の移動が起こりやすくなり、断熱性能の低下につながります。

また、設計時に想定した厚みが確保されていなければ、十分な熱抵抗値(R値)を得ることはできません。

断熱材は「どの種類を使うか」だけでなく、設計どおりの断熱層が形成されていることが重要です。

住宅の断熱性能は、断熱材そのものの性能だけでなく、施工精度によっても大きく左右されるのです。


気密性能が重要な理由

断熱性能を語るうえで欠かせないのが気密性能です。どれほど高性能な断熱材を使用していても、壁の中を外気や室内空気が流れてしまえば意味がありません。

空気の移動は熱を運ぶだけでなく、水蒸気も運びます。

冬は壁体内の温度が低下し、夏は壁体内の温度が上昇します。

その状態で湿気を含んだ空気が壁内を移動すると、温度差によって空気中の水蒸気が結露しやすくなります。これが内部結露です。

内部結露は、

木材の腐朽
カビの発生
断熱性能の低下
建物寿命の短縮
につながる可能性があります。

そのため現代の住宅では、「断熱」と「気密」はセットで考えるべき性能とされています。

断熱材によってつくられた「動かない空気の層」を維持するためにも、気密性能は欠かせない要素なのです。


断熱性能を表す指標

断熱材の性能を比較する際によく用いられるのが、「熱伝導率」と「熱抵抗値(R値)」です。

熱伝導率(λ値)

単位:W/(m・K)

材料そのものが熱を伝える能力を示します。

数値が小さいほど熱を伝えにくく、一般的には断熱性能に優れた材料といえます。

例えば、

フェノールフォーム:0.019~0.022W/(m・K)

硬質ウレタンフォーム:0.021~0.026W/(m・K)
現場発泡ウレタン100倍:0.036~0.038W/(m・K)高性能グラスウール:0.034~0.038 W/(m・K)
セルロースファイバー:0.038~0.040 W/(m・K)といった違いがあります。

ただし、熱伝導率だけで住宅の断熱性能を判断することはできません。

 

熱抵抗値(R値)

熱抵抗値(R値)は、断熱材がどれだけ熱の移動を妨げるかを表す指標です。

R=d÷λ

d:断熱材の厚さ(m)
λ:熱伝導率(W/(m・K))
R値が大きいほど、熱が伝わりにくくなります。

例えば、

熱伝導率:0.040 W/(m・K)
厚さ:100mm(0.1m)
の場合、R値は2.5㎡・K/Wとなります。

 

つまり、

熱伝導率が悪くても厚みがあるほど有利になり

同じ厚さなら熱伝導率が低いほど有利になる

ということです。

 

住宅の断熱性能を考える際は、熱伝導率だけでなく、厚みを含めたR値でコスト含めて評価することが重要になります。

 

断熱材を正しく評価するために

住宅の断熱性能は、断熱材の種類だけで決まるものではありません。

重要なのは、

適切な断熱材を選ぶこと
必要な厚みを確保すること
隙間なく施工すること
気密を確保すること
結露対策を行うこと
これらが揃って初めて、設計どおりの断熱性能が発揮されます。

高価な断熱材を使っても施工が悪ければ十分な効果は得られません。逆に、一般的な断熱材であっても、適切な設計と施工が行われれば高い断熱性能を発揮します。

住宅の断熱性能を考える際、「この断熱材だから良い」「あの断熱材だから悪い」と単純に判断することはできません。

本来評価すべきなのは、断熱材単体の熱伝導率ではなく、厚みを含めた熱抵抗値(R値)です。

さらに、その設計性能を実際の建物で実現するためには、

現場での施工精度
断熱層内部への外気・室内空気の流入防止
室内からの湿気の流入抑制
防湿・気密計画による結露対策
が欠かせません。

 

断熱材はあくまで「動かない空気の層」をつくるための材料です。

その性能を十分に発揮させるためには、適切なR値に基づく設計と確実な施工、そして空気と湿気をコントロールする仕組みが必要になります。

住宅の断熱性能は、断熱材の種類だけで決まるものではありません。断熱・気密・防湿・施工精度が一体となって初めて、本来の性能が実現されるのです。

気密性能がもたらす利益

気密性能という概念が住宅業界に広まり始めて、既に数十年が経過した。
しかし、ここ数年で一気に脚光を浴びた印象がある。

今や住宅業界は、

「とにかく高気密」
「高気密しか勝たん」

そんな空気すら感じる。

筆者自身は高気密推奨派である。
だからこそ、この流れ自体は歓迎している。

ただ、一つ冷静に考えなければならないことがある。

それは、「高気密化は、本当にそこまで経済合理性が高いのか?」という点だ。

実は、冷暖房負荷低減効果は限定的

住宅の熱損失計算では、漏気量は冷暖房負荷として扱われる。

つまり、

隙間が少ない

外気流入が減る

冷暖房エネルギーが減る
という理屈になる。

もちろん、方向性としては正しい。

しかし実際に計算すると、気密性能向上による冷暖房負荷削減量は、劇的というほどではない。

特に一定水準を超えると、改善効果は急激に逓減していく。

例えば、

C値2.0 → 1.0
C値1.0 → 0.5
C値0.5 → 0.2
この改善に対して、光熱費が比例して良くなるわけではない。

一方で、現実には、

気密部材
テープ処理
施工手間
測定費
現場管理コスト
などが増加する。

さらに住宅ローン金利まで含めれば、純粋な投資回収としてはマイナスになるケースも十分あり得る。

つまり、

「高気密化=必ず経済的」

とは限らない。

それでも高気密を推奨する理由

では、なぜ筆者は高気密を推奨するのか。

理由は極めてシンプルだ。

快適性に直結するからである。

高気密住宅は、

コールドドラフト
隙間風
温度ムラ
局所的な冷気侵入
を抑えやすい。

特に冬場、人間が「寒い」と感じる原因は、単純な室温だけではない。

微風
放射温度
局所的低温
温度変動
こうした複合要素が快適性を大きく左右する。

高気密化は、これらを安定化させる方向に働く。

つまり、高気密の本質は「省エネ」というより、

「室内環境の安定化」にあると考えている。

しかし、実は誰も定量化していない

ここで不思議なことがある。

住宅業界では高気密が絶対善のように語られる。
しかし、「C値と室温安定性の関係」を定量的に示した研究を、筆者はほとんど見たことがない。

例えば、

C値1.0以下で温度変動率がどう変わるのか
C値0.5以下で体感差はどの程度あるのか
どこから先が体感限界なのか
こうしたデータは、意外なほど少なく。

業界内部では、あまり共有されていない。

 

結果として、「高気密は良い」という言葉だけが独り歩きしやすい。

もちろん、高気密化そのものを否定したいわけではない。

むしろ逆だ。

筆者は高気密住宅を推奨している。

ただし、それは「数値競争」をしたいからではない。

本来重要なのは、

どの程度で快適性が安定するのか
どこから費用対効果が薄れるのか
その地域に本当に必要な性能は何か
を冷静に見極めることではないだろうか。

作り手のエゴかもしれない

住宅業界は、時として性能数値そのものが目的化する。

Ua値
C値
熱交換率
断熱等級
もちろん重要だ。

しかし、住宅は実験装置ではなく、人が暮らす空間である。

本当に大切なのは、

「その家が長期的に快適か」

であって、数値の美しさではない。

極端な高気密化を追求する行為は、もしかすると作り手側の満足感やエゴも含まれているのかもしれない。

そう考えることがある。

だからこそ、性能競争だけではなく、

実際の居住快適性
温熱の安定性
維持管理性
コストバランス
まで含めて議論されるべき時期に来ているように思う。

高性能住宅は設備で作るものなのか

高気密高断熱住宅には、多様性が存在する。

極めてシンプルな構成で提案する人もいれば、第一種換気や全館空調を前提に、高度な設備を組み込む人もいる。

かつては、「パッシブ設計」「アクティブ設備」という明確な二項対立で語られていた。

しかし、近年その境界は急速に曖昧になり“設備依存型高性能住宅”の方が主流になってきた様に感じる。

その背景には、技術進歩だけではなく、住宅業界そのものの構造変化があると思う。

パッシブ設計は、経験値が必要な世界であり極めて総合的な設計思想である。地域気候
日射角
季節風
窓配置
熱容量
通風
蓄熱
生活動線

これらを統合的に扱い、「建築そのもの」で快適性を成立させる。

つまり、設計者の経験や思想が性能に直結する。

一方で、設備は再現性が高い。

全館空調や熱交換換気は、一定条件を満たせば、比較的安定した性能を出しやすい。

その結果として、建築で解決する世界から、設備で補完する世界へ市場が移行しているようにも見える。

 

高気密高断熱住宅における「暑さ寒さ」とは何なのか?

ここで一つ疑問が生まれる。そもそも、人間は何を「暑い」「寒い」と感じているのだろうか。

実際、人間は単純に“空気温度”だけを感じている訳ではない。

壁や窓からの放射
気流
湿度
表面温度
温度ムラ
これらを含めた「熱移動」を感じている。

つまり、暑さ寒さとは、人体と空間の間で起こる熱移動の不快感と言える。

同じ室温22℃でも、従来住宅は寒く感じるが、高気密高断熱住宅は暖かく感じる。

これは高気密高断熱住宅では、空気温度ではなく壁・床・窓の表面温度が高く、人体から熱が奪われにくいからだ。

 

ここで重要になるのが、「エネルギー」と「エクセルギー」の違いである。

エネルギー保存則に従えば、エネルギーそのものは消えない。暖房の熱も、人体の熱も、家電の排熱も、形を変えて移動しているだけだ。

しかし現実には、「使える熱」と「使えない熱」が存在する。

例えば、1000℃の炎、20℃の空気、どちらも熱エネルギーを持つ。

しかし、1000℃の熱は仕事ができるが、20℃の熱ではほとんど仕事ができない。

この“エネルギーの質”を表す概念が、エクセルギーである。

高断熱住宅とは、単なる「省エネ住宅」ではなく本質的には、高品質なエクセルギーを無駄にしない住宅なのである。

従来住宅では、高温暖房を大量投入し隙間から逃がし再び加熱するという、極めてエクセルギー損失の大きい構造だった。

 

一方、高断熱住宅では、

人体発熱
家電排熱
日射取得
低温暖房
といった“小さな熱”で快適性が成立する。

 

つまり、低品質な熱でも快適を維持できる

という点に、本質的価値がある。これは単なる断熱性能ではなく、熱力学的に極めて洗練された状態と言える。

 

設備主導型住宅への違和感

もちろん、第一種換気や全館空調そのものを否定する話ではない。ただし、設備依存が強くなるほど、機械停止時に脆く、メンテナンス依存、複雑化、消費エネルギー増加といった側面も生まれる。本来あるべき姿は、パッシブで負荷を極小化し、アクティブで微調整することではないだろうか。

つまり、建築躯体が主役であり設備が補う脇役である。

高気密高断熱住宅を突き詰めて考えると、

住宅とは単なる箱ではなく、

熱力学
流体力学
気候学
生理学
の統合体であることが見えてくる。

 

そして、「暑さ寒さ」とは、単なる温度ではなく、人体エクセルギーの散逸をいかに穏やかに制御するかという問題なのだと思う。

住宅性能とは、設備の数ではなく、どれだけ自然な熱移動を設計できているかなのかもしれない。

 

※22〜24℃程度の低エクセルギー領域の熱を、高額な設備と複雑な熱交換システムで回収することが、本当に合理的なのか。

イニシャルコスト、メンテナンス性、耐久性まで含めて考えれば、高性能住宅の本質は「設備の高度化」ではなく、「そもそも熱を逃がさない建築設計」にあるのではないか。

少なくとも筆者は、そのように考えている。

 

以上

 

 

 

良い建築会社の見分け方

この題名は正直好きでは無い。恐怖を煽いで小銭を稼ぐ方々みたいで嫌になる。

でも、現場を見ていると家を建てる人は、目隠しでクジ引きをするのと同じだなっと感じる場面も正直多い。

 

どんな職人も大企業も初めは素人だった。

人が成長して一人前になるまで多少の失敗はある。

(筆者も若い時はアホだった。当時雇用して貰っていた社長は『皆んな順番だ(笑)』と笑っていたが、内心イライラだったと思う)

成長途中に行った出来の悪い仕事も、その後の成長やプロとしての誠意を示して罪が帳消しになると思う。

 

しかし、家は竣工後35年間と長い時間影響が残る。失敗は許されない。

最低でも半人前が単独で動いて良いものでは無い。

建てる家にはローンを組んだ契約者が背負うリスクが内包される。怖い話だ。

 

と言う事で、見分け方をピックアップ。

1.工事現場がめちゃくちゃ綺麗か。

整理整頓や木屑やホコリの掃除が出来ているのは仕事が丁寧で工期に追われていない証拠。ホコリが多い現場は防水テープにも影響が出る。粘着面にホコリが付着すれば接着力が落ちるから。当たり前の話だが意外と出来ていない人が多い。

 

2.社長が現場主義者か。

経営だけになるとダメなケースが多い。

いくつものフランチャイズに加盟して事業を細分化すると投資をする感覚になる。

結果、自身の家作りがどうでもよくなる。

 

3.自社で熱計算を行っているか。

外注に出していると設計士も重要なポイントを把握しなくなる。誰かに依存するとソノ誰かさんの言いなりになる。結果、施主に良い影響は出ない。

 

4.建替えや全面改修工事を考慮した仕様か。

現場発泡ウレタンが該当しそうだが、柱だけ残した全面改修工事を想像するとイメージつきやすいと思う。RC構造のマンションでは鉄製のヘラでコソゲ落とす。木造では、無理だと思う。

 

5.断熱構造がシンプルか。

複雑になるほど手間代が掛かる上に、施工面での粗が出て来る。

壁の断熱構造がシンプルである方が良い。

 

6.会社規模と完工棟数があっているか。

一般的な建築物であれば、従業員×2~3棟以上が必須。それ以下であれば苦しい戦いだ。不動産を確保し財務レバレッジを掛けている状況であれば余計厳しい。

社長の身なりや、所有している車等では判断は出来ない。

常に大きい事を言う方や、自身を大きく見せようとする方は要注意です。

 

7.アルミ樹脂複合窓を推奨しないか。

樹脂窓は強度が弱い等と理由をつけてアルミ樹脂複合窓を推奨する人とは付き合ってはいけない。経験上、この手のタイプは本質を理解していない人が多い。

 

ここら辺をチェックリストに入れておくといいかもしれない。

 

*コレは私の経験を基にした独断と偏見です。

 他にも色々あると思いますが実務者から見るとこんな所だと思う。

 

 

 

一種換気と基礎断熱と床下エアコンについてレポート

今年の冬は雪が多かった。
正直、しばらく雪は見たくない。

だが、悪い事ばかりでもない。
先日、知り合いのモデルハウスを見学したことで、非常に興味深い知見を得ることができた。

見学した住宅は、近年よく見かける「床下エアコン+基礎断熱(内基礎断熱)」の組み合わせ。
さらに、一種換気を床下に組み込む構成だった。

業界にいる人間なら、どこの思想のプロダクトかはすぐ分かる。
床下空間を空調チャンバー化し、空気循環で室温を均一化するタイプの設計である。

この手法自体は、これまで数多く見てきた。
正直、新鮮味はない。
しかも、それを“独自プロダクト”として熱心に説明されると、こちらとしては少々退屈だった。

しかし、今回の見学で重要だったのは「雪の日」に見たことだ。

外周の雪が解けていた

その日は、かなり冷え込んでいた。
にもかかわらず、建物外周部の雪が溶けていた。

思わず表面温度計を取り出して計測したところ、建物外部の土間外周部で高い場所は約5℃。

これは非常に示唆的だった。

つまり、床下へ投入した熱が、基礎コンクリートを介して外部へ逃げている。

床下エアコンは「基礎を蓄熱体として使う」という思想だが、蓄熱とは裏を返せば“放熱”でもある。
熱は高い場所から低い場所へ移動する。

当然の話だ。

室内環境は「床だけ暖かい」

各所を計測させてもらった。

床下エアコン設定温度:24℃
LDKテーブル高さ空気温度:21℃
天井表面温度:18℃
壁表面温度:20℃
床表面温度:23℃
LDKから離れた個室:18〜19℃
単純に平均すると、体感としては19℃台後半。

感覚的には、
「床だけ暖かい」
という表現が最もしっくりくる。

確かに足元は暖かい。
だが、床に接していない上半身は微妙に寒い。

人は空気温度だけで快適性を感じているわけではない。
周囲表面温度の影響は極めて大きい。

天井表面温度18℃という時点で、放射的な冷たさを感じやすい状態だった。

コンクリート蓄熱の限界

さらに興味深かったのは基礎温度だ。

基礎スラブ中央:28℃
外周基礎断熱部:18℃
中央部はしっかり暖まっている。
しかし、外周へ行くほど熱が逃げている。

つまり、床下エアコンは基礎コンクリートを暖めるが、その熱は放射状に外部へ拡散していく。

特に積雪地域では、外気温との温度差が大きいため、この傾向が顕著に出る。

もちろん、断熱性能が低いわけではない。
だが、「エアコン1台で全館快適」という理想に対して、投入熱量が不足している印象を受けた。

空気循環の“不快さ”

床ガラリには循環ファンが組み込まれていた。

だが、これも個人的にはかなり気になった。

微妙に耳につく稼働音
足元で感じる気流
常時風を感じる不快感
住宅設備は「理論上成立する」ことと、「長期的に快適」であることは別問題だ。

空気を動かせば温度ムラは減る。
しかし同時に、人は風による不快感も感じる。

特に静かな住宅では、小さなファン音ほど気になりやすい。

熱交換換気への違和感

熱交換換気についても、個人的には懐疑的だった。

「空気循環によって室温が均一になる」という説明だったが、実測値を見る限り、そこまでの効果は感じない。

もし本当に空気搬送だけで均熱化できるなら、

LDK天井表面温度18℃
離れた個室18℃
にはなりにくい。

結局、空気が運べる熱量には限界がある。

住宅の快適性を決めるのは、単純な空気温度だけではなく、

表面温度
放射
気流
温度ムラ
こうした要素の総和である。

最大の問題は「メンテナンス性」

そして、個人的に最も危険だと感じたのはここだ。

床下設置の熱交換換気
特定代理店経由の空調システム
専用設計化されたエアコン
つまり、設備更新時に“普通の工事”が成立しない可能性が高い。

15年後、エアコン故障時に地元電気業者へ依頼した場合、

「特殊施工なので保証対象外」
「対応できません」

と言われても不思議ではない。

住宅設備は、導入時より“交換時”の方が重要だ。

特定メーカー依存、特定代理店依存のプロダクトは、長期維持の観点ではリスクが大きい。

結論

今回のモデルハウス見学で得た感想は非常にシンプルだ。

外周の雪が解けていた
足元は暖かい
しかし温度ムラは大きい
ファンの音と気流が不快
基礎蓄熱は外部へ熱を逃がしている
メンテナンス性に大きな不安がある
住宅は、理論やカタログスペックだけでは語れない。

本当に重要なのは、極限環境で「どう振る舞うか」だ。

今回は、雪の日だったからこそ見えた“現場のリアル”だった。

そして改めて思う。

他人や特定メーカーへ依存するプロダクトは、長期的にはリスクになりやすい。

住宅は20年では終わらない。
設備も必ず壊れる。

だからこそ、特殊性よりも、
「誰でも直せる」
「普通に交換できる」
という設計思想の方が、結果として強いのではないだろうか。

以上

建築業界の現在とSNSに思う事

最近SNSでは、断熱性や気密性、耐震性能(許容応力度計算)、換気をするなら熱交換換気、窓なら樹脂窓トリプル等決まりきったワードばかりだ。

 

インフルエンサーになりたい方々は呪文の様に同じ事をポストし続けている。

 

10年以上前から高気密高断熱住宅を推進してる者として思が、技術者として施主様の住宅を一定水準の性能へ誘導する事は当たり前の事だと思う。

 

ただ、現実は厳しいモノで断熱性を底上げする事も耐震性能を底上げする事も全てコストが掛かる。

知識や仕入れの工夫(内助の功)だけでは要望を補う事は厳しい。だから出来る限りの事をした上で線を引き優しい嘘をつく必要も出てくる。

 

正直、上を見たらキリがなく資材価格も上がり続けている。

現在でも職人の手間代は上がっていない。

材工で受けている一部の職人さんのみ資材価格の売価を上げて対応しているが仕事量が減っている為、利益が出ているのか疑問に思う。

 

ウッドショックやインフレ初期段階に無理をした会社は軒並み赤字で利益率マイナス5%だったなんてザラにあった。

コレから無理をしたツケが色々な所で出てくるかもしれない。

そんな状況下だからこそ、会社選びはSNSのキーワードで選別せずに相手の話を聞いて仕事に取り組む姿勢や考え方を聞いて選んで欲しい。

 

本気で取り組む人の声は聴けばわかると思う。