気密性能が上がると省エネになると言うのは結論に飛びすぎている。
気密性能は、「断熱の保護」と「隙間風の抑制」、「室内換気を安定させる為の下地」になります。
具体的には、壁内結露の抑制、壁の表面温度(平均輻射温度)を安定させる効果、換気量の安定。
一般の方向けに言い換えると、家を腐らせない効果、室内を快適温度にする交換、換気システムを計算通りに機能させる効果です。
ここで疑問になる省エネ効果についてですが、気密性能自体は省エネ効果が非常に高い訳ではなく、設計通りの性能を現実に落とし込んだ時のブレを抑える効果になります。
だから、高気密でも開口部の性能が低ければ省エネにはならない。高気密でも夏場に日の入る設計であったり、西陽の影響を強く受ける開口部の設置では気密性能の恩恵を簡単に消し飛ばしてしまう。
※元々住んでいる建物の気密性能がない状況であれば省エネかもしれない。
一部の製品を除き断熱材やエアコン等は本来それなりの性能がある。 正しい知識で設計施工出来ていないだけとも言える。
現実、世界最高性能のドイツパッシブハウスに認定された住宅は高性能グラスウールを入れた物件も多く存在する。1980年頃には北海道で現在の断熱等級5~6相当(6地域)の家は存在していた。そこで使用していた断熱材も16kグラスウールだ。
ぶっちゃけてしまえば、正しい知識で設計施工する事がとても難しい。
悲しい事に一昔前の建築現場では断熱性能を考慮した設計施工をしていない事が多く、断熱材を入れ忘れている現場も多々存在していた。
※筆者も12~13年前に大工が断熱材の入れ忘れを発生させて気密測定の業者を帰らせた恥ずかしい経験がある。2010年頃の話だが普通に発生していた。
話が脱線したが、そんな感じで結論わかり易く一般の方に伝える手段として高気密=省エネと言う言葉が定着したに過ぎない。
「気密性能があるから省エネです」と言われたらそこから先を突っ込んで聞いて見ると面白いかもしれない。
それだけで相手を理解する事が出来るかもしれない。
主観だが正しい知識を学ぶ場が少ない気がする。
テキストを読み込み、経験則から学び、テキストに書かれている事の成否を判断して考え方をアップデートしている。
本当に奥が深い。