湿式外張り断熱について

EPS(発泡スチロール)を外壁面に施工し、その上に仕上げ材を施工する方法。

実はコレについていくつかの疑問点が有る。

っと言うよりも、疑問を上げればキリが無いが1.2.3について考察すると筆者は現段階では採用はしない。

1.通気層が無い事。雨水を排出する溝は有る。

2.EPS(発泡スチロール)の断熱性能を熱計算に組み込む事。

3.透湿性と吸水性。

通気層は、漏水時の最後の砦となる。

ソレを無くして透湿防水シートで挟む行為は、毛細管現象で壁内に雨水が浸透する可能性が出てくる。

また、気密性能が高まると建物内が負圧になるモノだが通気層が無い為、内外圧力差による影響をモロに受ける可能性がある。

仕上げ材も経年劣化でひび割れが入る可能性もある。初期状態で有れば憂慮する必要も無いが日射や振動、乾燥収縮の影響は計り知れない。結果、クラックが入ったら防水性は極端に下がる可能性が有る。

あくまでも可能性の話しだが、建物寿命は長い。

何が起こるか予測するだけ無駄だ。

メンテナンスを行えば良いのだが、一般人が定期的に保守点検を行うとは思えない。

古くなった建物の外壁を剥がすと通気層が有っても木材が劣化している姿をよく見る。

透湿性が有って通気していても雨仕舞いによって劣化してしまうという事だ。

リスクを無くす方が重要だと筆者は思う。

 

そして、熱計算に組み込む事について。

シワ加工を施した透湿防水シートをEPS(発泡スチロール)と建物躯体で挟んでいる。当然、漏水時に排水する様に溝が切ってある訳だが、一部建物に密着していない。密着していない部分が有っても断熱性能を計算して組み込んで良いのか疑問だ。

熱伝導率は、発泡スチロールの数値を適用させて厚みで計算すればどの状態でも熱抵抗値は計算出来る。

Ua値は、適当に計算しても結果が出るのは光熱費の請求書を見てからとなる。正直、冷蔵庫等の電気代に混ざってしまいわからなくなる。

立地、間取り形状が同じ建物を建てない限り本物の付加断熱と比べる事は出来ないだろう。よって、プラセボとなる可能性は否定出来ない。

 

最後に透湿性と吸水性があるという事だ。

完全に吸水しないので有れば透湿性の無い外張り断熱材と同じ発想で、壁内が露点温度にならなければ良いのですが、小口からは吸水する上に透湿性は存在する。室内からの湿気はどうなるのか疑問だ。24換気で逃げるのか気密シートで逃げるのか、どちらにしても全てが中途半端な気がする。

 

以前、結露対策のセミナーを受けた際に講師が『防水層と断熱層、気密層は全て別にした方がリスクヘッジになる。全てを一緒にすると一箇所がダメになると全て影響を受ける。』と言っていた。

全くその通りだと思う。

卵を同じ籠に全て乗せてはいけない。

建築でも使える言葉だった。

恐らく、湿式外張り断熱工法を推奨する方々は、外壁の施工だけで付加断熱になる事をメリットにしている欲張りさんだ。

安く付加断熱を施工出来る良アイテムと言った所だろう。

気持ちはわかるが、正直、あまり安全とは思えない。という事で、無駄にリスクを背負う必要は無い。

 

通気層のある工法をオススメします。

 

以上