近年のインフレによって新築市場が様変わりした。およそ35年前の価格に戻った感じだ。
土地建物含め4000〜5000万。
土地建物含め3500万で計画する分譲住宅はどこへ消えたのか。
日本最大のローコスト住宅『飯田産業』も断熱性能を見直ししてUa値=0.6を標準とした。
※窓を樹脂窓へ変えただけだろうけどね。
現状では坪単価70〜80万(30坪前後)で見ても職人さんの手間代が上がっていない。という事は、およそ10〜20%値上げする必要が有るのが本音だ。
土地と建物+手間代10%UPさせた場合、断熱等級5(Ua値=0.6)の家でも、2500万〜3000万近くまで価格は上がる。
土地2500万の区画で2500万の家を建てれば5000万必要となる。恐らく分譲住宅もココの価格帯まで上がっていく感じと予想。世知辛い世の中だ。
そんな状況下で話が出てくるのが、中古リノベーションだ。ここで話題に上がるのが、柱を残した全撤去の改修工事。そして、見た目だけで無く性能も新築レベルまで上げていくモノだ。
具体的には築20〜30年程度の中古住宅をフルリフォームする。掛かる費用は概ね2000〜2500万。
物件の取得が2000万程度なら断熱等級5〜6レベルの新築と同程度で500〜1000万程安く仕上げる事が出来る。
この取り組みは2年程前から徐々に話題に上がって来た。事例は少ないが水面下で各社動いている感じだ。
悪く無い。悪くないけど、引っかかるのは中古物件の状態だ。経験上、柱や土台が腐っているモノをよく見る。数は少ないが腐っていないモノも存在する。コレばかりはインスペクターでも非破壊検査の限界がある。
と言う訳で、中古市場で気になっているのは木造では無く軽量鉄骨造だ。高気密高断熱を旨としている筆者としては、熱橋の関係上、新築では決して選択に上がらない構造だが、フルリノベーションの材料として考えると構造材に劣化が少ない軽量鉄骨築は有りかも知れない。
※外張り断熱を行えば熱橋は考え無くて良い。
これから家の購入を検討している若い方々、無理な資金計画を組むのはやめて中古リノベを一度検討して見てはいかがだろう。マンション購入は、必ず修繕積立費と管理費などで苦しくなる。
住宅ローンも金利が上がる。中途半端な新築を買うより賢い選択かもしれない。そして、今ならまだ妙味のある中古物件は市場に在るはず。
ココ数年のウチに中古リノベーションと言うカテゴリーが市民権を得るだろう。リノベーションと言ってもデザインもこだわって作るので見栄えも満足するはず。興味が有れば『性能向上リノベ』で検索すると面白いモノが見られる。
フルリノベーションの流行りの後に3Dプリンター住宅が形になるのかな?アレが形になれば設計士も施工管理士も職人さんも必要としない世界になるのかも知れない。少し寂しいな。
以上