理想的な室内環境とは何か

人間は、周囲の物体とのエネルギーの交換がされ収支がプラスであれば暖かく、マイナスであれば涼しく感じます。

冬暖かく夏涼しい家は外部環境からの視点であり室内環境に順化した状態であれば何も感じないニュートラルな状態が理想となります。

 

では、具体的にはどの様な環境となるのか?

 

答えは、いくつかありますが実現可能な範囲で挙げると次の様になります。

 

『周囲の平均輻射温度が18℃に対して空気の温度が22~23℃となり、湿度40〜60%、空気の流れが流速0.3m/h以下となる事です。』この空間でスーツを着て椅子に座った状態が、人と空間のエネルギー収支が±0となり何も感じない環境となります。

これは修正有効温度と言います。

我々が一般的に見ている温度は乾球温度(空気の温度)であり体感温度ではありません。

 

安易に22~23℃がちょうど良いと言うわけでは無く『周囲の平均輻射温度』と『空気の流速』、『人の着衣量や行動量』も関係します。

 

この内容を理解すると、エアコン暖房の設定温度が22〜23℃が良い訳では無いと理解出来るはずです。

 

特に古い家は断熱性能が低いので現実的ではありません。

 

新築でも断熱等級5の家では正直厳しいと思います。

熱伝達計算と熱橋面積比を落とし込むと…

開口部面積が15%で外気0℃と考えると各部位の面積割合と温度は次の様になります。

樹脂窓15%17℃程度、柱14%17%、断熱材の入った壁71%20℃度程となります。

残念ながら樹脂窓ペアガラスでも柱(105)の熱貫流率とほぼ同じとなります。

結果、壁の温度は平均18℃程度になります。

※計算が手間なので加重平均ではありません。

 

エアコン暖房22〜23℃設定では体感20℃程度に下がります。

※計算が手間なので壁と床、天井を同じ表面温度と仮定。

さらにココに気密性能が加わり表面温度が下がります。表面温度が何℃下がる程度は物件の施工精度に依存する為、計算で出す事は出来ません。

 

結果的に気密性能を考慮していない分譲住宅や賃貸住宅ではエアコン暖房22〜23℃設定は寒くなって当たり前なのです。

 

最悪な事を言えば、注文住宅の新築でも断熱等級5程度なら同じ結果に至ります。

 

冬の温度設定は体感温度に素直になりましょう。

寒いなら断熱の設定温度を上げ、光熱費を節約したいなら着衣量を増やす事が賢明です。

 

高気密高断熱(断熱等級6以上)の家以外は、エアコン暖房22~23℃設定でTシャツ短パンでいると寒い設計になっています。

 

以上