住宅業界(2024年)の現状と迷走

昨日久しぶりに住宅総合展示場を見て来た。

見たと言っても同業なので公園の散歩感覚で各社のストロングポイントを看板で確認した程度。

地元の企業も出展している状況で8割が全館空調システム、1割が床下エアコン、残り1社が断熱等級7と耐震等級3の組み合わせ。

想像通りだったが、冷静に考えると疑問を抱く。

全館空調も床下エアコンも壁掛けエアコンも同じ事。熱エネルギーの収支バランスを整えているだけ。

ぶっちゃけ普通の壁掛けエアコンでも断熱性能が高ければ、エアコン設定温度24℃で床の表面温度は24℃になる。

その最低ラインがC値=0.5以下、断熱等級6以上と言った所だと筆者は理解している。

そんな訳で全館空調、床下エアコン、熱交換換気は、冗談抜きで『金の無駄』だと言いたい。

無駄に金を使うから断熱性能が低くなる。

 

結果的に断熱等級7耐震等級3標準のビルダーのみ本質を理解していると言った所だ。

悲しい事に筆者が見た総合展示場では1社のみだった。

 

なぜ、こんな状況になっているのか?

一言で言えば、素人が多いから。

 

使われる建材の組み合わせに名前をつけて商品と言ったり、組み合わせを考える事を商品開発等と恥ずかしい事を言う輩もいる。

『建築の知識は30%浅く広くお客様へ共感を抱かせればそれで良い。自信を持って商品を提案しています。』この言葉は、偶然行き合った工務店の営業設計の方が言った実際の言葉。

社内で熱計算ソフトも導入しておらず、建材店が持ってくる営業トークで固めた中身のない感じだ。

YouTubeで一生懸命に熱交換換気や全館空調、床エアコンや階間エアコン等PRする工務店の姿を見ると本当に虚しい。

正直、彼らを批判したい訳では無くこの現状を消費者に理解して欲しい。

無駄なモノを提案されて無いか疑問を持って欲しい。

今家作りを相談している相手は、高い確率で素人に毛が生えたレベルです。

 

いい加減に国が是正すべきだ。

 

2級建築士のテキストや問題を中身のある内容にして設計プロセスを明確にすべきだ。

現在でも外皮計算の問題は部分的な計算で1棟丸々計算する問題は存在しない。

壁の構造を設計して定常結露計算の問題も存在していない。

 

正直言って、業界内部では年齢の差関係無く知識の格差が広がり専門的な会話が成立しない人も大勢いる。

 

技術的な事柄は営業の無駄だと言う人もいる始末。

同じ『士』のつく仕事。医者に置き換えたらありえない。

 

本当に恐ろしい。

 

今の住宅価格は建物だけで70〜100万円/坪。

20代で土地込みで購入しても35年間月々14万円程度支払いが発生する。

建て替えは見込めない。

だからこそ、長期使用に耐える造りにすべきだ。

設備は30年使えない。良くて15年が寿命です。

35年前の固定電話は既に世の中には無い。

 

設備で固めた中身のない家を35年以上住み続ける事はキツイよ。

 

断熱性能を上げる事を毛嫌いしても、イニシャルと冷暖房費との比較は長期化すれば効率は上がる。そして、暖かい。

 

業界内部人も消費者も一度立ち止まり考える必要があると思う。

 

愚痴では無く、年長者として思う事でした。

 

以上