窓選びから学ぶ壁の断熱仕様のあり方

窓の仕様を考えるとアルミ樹脂複合窓は寒冷地には適さない。窓枠が冷えてコールドドラフトが発生するから。

温暖地域に住んでいる方はわからないかも知れませんが窓が冷えると「とても不快で冷たい空気」が窓から床を伝って垂れ下がって来ます。

この現象をコールドドラフトと呼びます。

とても冷たい空気なので素人の方は24時間換気の給気(外気)だと勘違いしますが室内空気の循環で発生する現象です。暖かい空気は上昇して冷たい空気は下降する現象と同じです。

窓枠の断熱性能が低いと窓枠が薄くても家全体に影響を与えます。

だから、まともな設計士は窓を樹脂窓に変更します。

寒冷地でもローコスト思考やモノを知らない勉強不足な設計士は今でも枠が薄いアルミ樹脂複合窓を提案します。

悲しい事に樹脂窓の枠が厚くカッコ悪いと言い樹脂窓を否定する輩もおります。こう言う方々は、「ドリームハウス 全面ガラス張りの家」を調べる事をオススメします。

 

ココで得られる教訓は、熱橋(読み:ねっきょう)は想像以上に室温に悪影響を与えると言う事です。

※熱橋とは、断熱性能が極端に下がり熱を伝えるポイントになる部分です。

では樹脂窓を採用すれば良いのでは?

残念ながら、樹脂窓を採用しても身近な所に熱橋は存在します。それは、家の骨格になる木材です。木材は断熱材と比べて断熱性能は意外と低いです。

(ココから本題)

木材の断熱性能は、高性能グラスウール16k厚み10cmで例えると3.5寸の柱(一般的な柱)で約半分位の断熱性能しかありません。

では、柱はどの位あるのか?

充填断熱(柱と柱の間に断熱材を入れる一般的な方法)を軸に考えると91cmスパンに1本ずつ存在します。細かい事を言えば、91cmの半分の位置に間柱が4.5cm入ります。

※建築業界では全てミリ単位で言いますが一般の方もいるのでcmに換えてます。

 

結果、壁全体で17%位は木部(熱橋)となります。

これを専門用語で熱橋面積比と言います。

 

ココで疑問に思うのは、なぜアルミ樹脂複合窓(熱橋)で懲りたはずなのに柱は無視するのか?

壁全体で17%が樹脂窓と同じ位の断熱性能しかないのになぜ?

答えは、「めんどくさいから」、「外張り断熱を止める専用ビスが心配」、「無駄に金が掛かる」からです。恐らく10名質問したら上記の3点が9割を占めると思います。

でも、考えてみたら10年前の建築業界で『気密』と『樹脂窓』への偏見から採用を拒んだ方々が多かった事を考えればあの当時と同じ事かもしれません。

では、施主はどうすれば良いのか?

答えは、『外張り断熱を基本に付加断熱をオプションで検討すれば良い』です。

意外とシンプル。

外張り断熱を採用して初めて蓄熱効果を体感します。木材が熱を蓄える燃料タンクになります。

具体的には、外気温が下がりきって数時間後に室温が下がりきります。不思議な現象です。

外張り断熱を採用しないと柱から熱が逃げます。

※ココで言う外張り断熱とは湿式外張り断熱と異なります。

 

お金が有るなら選んだ方が良い仕様でした。

 

以上