一種換気システム(熱交換換気)の問題点とネットリテラシー

24時間換気を検討すると三種換気はダメだと言う方が多くいますが、決して一種(熱交換)換気が優れている訳ではありません。

 

一種換気がダメな理由

1.給気に室内の空気が一部混入します。コレはJIS規格にも記載されている『有効換気量率』と言う項目です。

以前は、『有効換気量率』の意味が、給気に排気が一部混入すると言った内容でしたが現在は言葉が変わってます。

今は、「機器から供給される給気の空気中に含まれる新鮮空気の割合」。

屁理屈っぽい感じですが意味は大差ありません。

概ね3〜7%程度、給気に室内空気がリターンします。

※コロナ禍にYouTubeの動画でガスバリア性能が有るから『リターンしません。安心です。」と語った人がいますが、技術的にありえません。

 

2.想像以上に熱交換の効果は有りません。コレは当たり前な話ですが空気の持てる熱量は多くありません。純粋に空気が熱を大量に運べる物であればタバコやドライサウナは存在しません。火傷します。

よく『冬に三種換気の給気口をサーモグラフィーで見ると冷えている事がわかります。』と自慢げに語る方は多いですが、一種のSAと三種の給気口を同じ条件下でサーモグラフィーで見比べると2〜3℃程度しか差は有りません。そして、一種換気の排気口を外からサーモグラフィーで確認すると熱交換しているはずですが、赤くなってます。

 

サーモグラフィーで確認出来る熱は顕熱のみですが空気の温度は別に存在します。又、潜熱を体感で分かる人間は存在しません。なぜなら、人間は湿度を感知する器官を持たない生き物だからです。矯正歯科の友人言わく乾燥感があると言う人は口呼吸との事です。

この点においてネットの情報にリテラシーの問題がある気がします。

 

3.本当にカビが生えます。場合によっては結露してファン本体から水が垂れます。熱交換素子で結露するのは、流速が遅くなる為です。フィルターに汚れがついてダクト内の気流が減速すると起こる現象です。

壁掛けエアコンでも起こる現象です。

実際、毎月1〜2回は給気と排気についているフィルターの掃除と熱交換素子の掃除を行う必要があります。コレをサボると熱交換素子が黒ずみ始めます。メーカー側は、10年使用できる等と表示しているモノもありますが実際は汚れます。

空気清浄機のフィルターを交換しないで使用し続ける人は存在しないのと同じです。ぶっちゃけ空気清浄機も分解してファンを確認するとかなり汚れています。JIS規格で『有効換気量率』が指定していても数%は漏れて良い内容の為、汚れるのは当たり前です。

Googleで『全館空調 掃除』『熱交換 カビ』で検索すると色々見る事ができます。

 

筆者もネット検索した時に出てくる様な汚い現場は多く見ている。だから、基本はオススメはしない。冷静に考えれば35年間機械が清潔に保たれるとは思えない。

 

4.点検口サイズよりファン本体の方が大きく出来ている場合が多い。壊れたら交換費用が掛かります。天井(又は、床)を壊して復旧する為、本体だけでは済まない事が多いです。又、電気工事と造作工事は業種が異なるので余計にお金が掛かります。

 

1〜4の理由で一種換気が優れた商品とは言い切れません。

 

最近では、局所換気の熱交換タイプが出始めていますがアレも衛生的では有りません。

ロータリー式の熱交換方式と大差なく、構造上汚れやすいタイプです。

顕熱で衛生的と謳いますが給気の経路に排気が重なる為、汚れます。そして、局所換気の為、抵抗を計算しないので換気量が取れていない場合が多いです。

室内の匂いが取れないとクレームを受けた友人もおります。

メーカー側の設計では、各居室に設置して換気量が足りない場合は洗面所やトイレに取り付けた局所の三種換気を計画に合算して換気量を誤魔化す様に指示を受けます。

給気口が無いのに換気が成立するのは如何なモノか。熱交換換気で24時間換気を設計して三種換気を組み合わせたら熱交換効率が下がります。

一台8〜9万する高価なユニットですが、ぶっちゃけ意味がありません。

当然ですがオススメしません。

 

以上。

 

 

 

24h換気システムは全館空調システムの送風に利用出来るのか?

答えは無理です。

24h換気の送風では室温をコントロールする事は難しいです。

と言うより、実質無理です。

 

基礎断熱の床下に一種換気を入れて循環ファンの様なイメージで提案している方々はいますが、あれはプラセボ効果です。筆者は、誇大広告に近いとも思っている。

 

24h換気システムを送風(循環ファン)として機能させることが難しい理由は、送風量が少ないためです。

24h換気は、家全体の容積に対して1時間当たり半分の空気を入れ替える為に作られたモノです。ダクト式セントラル換気の1ヶ所あたりの送風量は20~30㎥/hとなります。

 

例 一般的な2階建て住宅の場合 

35坪:116㎡(天井高さ2.4m) 

必要換気量の計算 116×2.4÷2≒140㎥/h

35坪3LDK 概ね10部屋

(基礎断熱の場合、床下空間を追加)

部屋の構成:LDK、トイレ2、洗面脱衣室、納戸、玄関収納、部屋3、ユニットバス

排気口設置箇所:キッチン、トイレ2、洗面脱衣室、納戸、ユニットバス

*基礎断熱の場合は床下へ1箇所追加。

基本6~10分岐位で設計する。

6箇所排気をする場合、1箇所あたり23㎥/hの送風となる。

循環ファンとして考慮する場合、排気の23㎥/hのみ対象として考える。

一種換気の場合でも給気と排気の46㎥/hを対象と考えるだろうが給気は熱源からの送風にならない為、排気のみを対象に考える。

 

空気が送れる熱量の計算

式1

必要送風量㎥/h=熱負荷の処理量w÷(0.303×吹き出し口の温度差K)

式1-1

熱負荷の処理量w=必要送風量㎥/h×0.303×吹き出し口温度差K

 

分かりやすい言葉にすると

送風出来る熱量w=ファンの送風量㎥/h×居室間の温度差℃÷3.03

 

*本来なら熱量wを顕熱と潜熱に分けて考える必要があるがこの記事では意味を伝える事を優先して記載するので省略して考える。

 

話を元に戻し分かり易くした式に数値を入れると下記の通りになる。

送風出来る熱量w=ファンの送風量30㎥/h×温度差 10℃÷3.03

送風出来る熱量w=99w/一ヶ所 

 

3LDK(LDK+居室3+ホール2)

計6ヶ所:99w×6=594w

結果、循環する熱量594wとなる。

 

エアコンの暖房出力(三菱エアコン暖房強化型)

6畳用エアコンの暖房出力が600w〜6.800w

20畳用エアコンの暖房出力が800w〜11.300w

 

この時点でご理解頂けると思うが一ヶ所当たりの熱量99wと比べると暖房出力差が6倍以上になっている。

 

窓の熱貫流率が1w/㎡・kの物を使った場合

(内外温度差24℃)

腰高(幅2m・高さ1.5)=3㎡

窓の熱貫流率1w/㎡・k×窓面積3㎡×温度差24℃=72w/h

1ヶ所当たり72w/h熱が逃げる計算となる。

1部屋99w/hの送熱で考えた場合、窓だけで72%を失う結果となるため、壁・天井などから逃げる熱分を補う事が出来なくなります。

 

6地域基準 表面積330㎡ 

温度差24℃(最低気温0℃ 室温24℃)

断熱等級5 Ua値=0.6w/㎡・K 198w/K

必要暖房出力4752w

断熱等級6 Ua値=0.46w/㎡・K 151.8w/K

必要暖房出力3643w

断熱等級7 Ua値=0.26w/㎡・K 85.8w/K

必要暖房出力2059w

 

断熱性能が高くなると実質エアコン1台で熱量を補填できる計算になりますが分散させて送風させた場合、1ヶ所当たりの送熱量は少なくなるため、24h換気システムを利用した似非全館空調システム(循環ファン)とは成らない結果となります。

 

唯一可能とするならば、凄く高い断熱性能を必要とします。

ただし、凄く高い断熱性能にすると送風ファンに関係なく室温は一定になります。

その分水嶺は断熱等級6以上と言えば分かりやすいかもしれません。

断熱等級6以上なら可能性が生まれる理由は、既に熱が行き渡っている状況であれば循環ファンを利用しなくても室温が安定するためです。

*気密性も影響するため注意が必要です。

 

結果は、一種換気(熱交換換気)であろうと三種換気であろうと断熱性能が高く24h連続運転していれば循環ファンや全館空調システムの有無は関係なく室温を快適に保つ事が出来るようになります。そして、断熱等級6未満の場合、一種換気(熱交換換気)を利用して熱を全館に行き渡らせようとしても成立する訳がありません。

 

夏場冷たい空気は、空気の比重が重くなるので下降します。冷たい空気を上昇させるためには、非常に大量の送風量が必要となるため、24h換気の送風量程度では役不足となるのです。

*この点においてサーキュレーターの効果に疑問を感じます。部屋の空気を上下循環させて省エネ効果を得る事が有り得ない事だと理解出来るはずです。

 

無駄に循環システムを導入するなら断熱性能を高める方が効果的になります。

 

本来は、設計士が間取り・外観・断熱・壁内の構造(耐震性・通気)などを検討した上で設備の設計を行うのがあるべき姿です。

しかし、設計士が一種換気とエアコンの組合せで全館空調など絵空事を語る輩もおり、設備についての勉強をしないで育っている者を多く見るので書きました。

 

筆者は、設備について専門外なのですが、意味合いを伝える事を優先しているため、『潜熱・顕熱』等の本当は重要な部分を省いて記載してます。

 

以上。

 

 

 

 

 

 

断熱等級567どこに向かうべきか

断熱性能の底上げが行われる理由は、地球温暖化対策が根底にある。我々人類は、地球温暖化に歯止めを掛けないと色々な不具合により生活する事が困難になる為だ。

だが、建築現場ではインフレで値段が上がっている状況で断熱性能を上げる事は実際に厳しいのでは?と言われるケースが多々ある。

実際に高額商品は売れなくなる為、断熱性能を上げた高性能住宅は仕様を考えるだけ無駄だと言う工務店も多く存在する。中には、住宅価格が上がると投資として採算合わないのでは?と考える輩もいる。

しかし、考えて欲しい。値段が上がったから今までの仕様(断熱等級5)で良いのか?

恐らく、答えはNOだ。

国(世界)は、住宅部門において2030年までに2013年CO2排出量より50%減らす目標があり、2050年までにカーボンニュートラルを達成する計画だ。

ソレに伴い、高性能住宅にする事を条件として補助金や住宅ローン減税や住宅ローンの優遇金利等の政策を行い打ち出している。

 

例えば

子供住まい給付金(既に終了済み)は100万円。

住宅ローン減税は住宅ローン残高0.7%を還付。

住宅ローンの優遇金利は初回10年金利0.5%低く設定出来る。

コレら全て断熱等級5(省エネ基準適合住宅)を最低限として、認定低炭素住宅やネットゼロエネ住宅等の高性能住宅へ間口が広がる内容となっている。

 

そして、日本はエネルギー自給率が非常に低い。

※2022年のエネルギー国内自給率は約11%。

 

産油国でもなく原子力発電を稼働させられない状況下で化石燃料を大量購入し火力発電に依存している。結果、年々エネルギー代が高騰。

現状は、高騰する電気代やガソリン価格に税金を投入して誤魔化して生活を維持しているに過ぎない。こんな状況は、永遠に続けられる訳がなく当然サスティナビリティ(持続可能性)が必要となる。今の日本は地球環境だけでなく経済にもサスティナビリティが求められている状況だ。

直近では、イスラエルの紛争により更なる原油価格の変動リスクが発生している。原油が上がれば、資材価格も高騰する。本当に考えたくない。

 

温暖地域(6地域)を基準に仕様を検討すると断熱等級6がベストだと考える人が多い。

理由は、外張り断熱で付加断熱をしなくて済むからだ。7~8年前に一度試算したが、原価で5万円/坪程度掛かっていた。現在は、8万円/坪位は掛かるだろう。職人の手間賃等含めたら結構コストアップになる。だから、断熱等級6前後を推奨しているのだろうと推測している。

世間では、『断熱等級6+』や断熱等級5で『丁度良い仕様』『丁度良い塩梅』等の言葉を聞く機会が増えた。

ただ、数年前のHeat20が周知される様になったタイミングを振り返るとG1やG2の選択で皆さんG1を選んでいた。今の断熱等級5相当だ。窓を樹脂窓へ切り替えれば簡単に達成出来るからだ。

2015年設計ガイドブックが初刊されてから約8年でG1は市場の最低ランクへと塗り替えられた。

ただ、化けの皮が剥がれただけかもしれない。

 

G3(断熱等級7相当)が発表されたのが2019年頃、結果3年間で一般的に認知されるようになった。

 

初心に返って性能を見直すと下記の通りだ。

断熱等級5 G1:概ね10℃を保持

断熱等級6 G2:概ね13℃を保持

断熱等級7 G3:概ね15℃を保持

※冷暖房の手法を除いている為、適切な設計を施せば22〜23℃になるので誤解の無いように。

 

『性能だけを考えれば、10℃・13℃は寒い。』

『正直、概ね15℃も微妙だが全館連続暖房を主体に考えれば問題は無い。』と言った所だ。

 

技術者として正直に述べると断熱等級7相当で全館連続暖房と言うモノが成立し始める。

具体的には、『LDKに設置したエアコン1台で家全体を温める事が出来る。ただし、窓を程度の悪い物を選んだ場合や気密性能が悪い場合は、温度ムラが発生する。』となる。

結果、金銭面を考えなければ断熱等級7相当が良い事になる。

ただ、断熱等級7相当だと全ての人が手に入れられる物では無く、2025年の壁量計算基準が追い打ちを掛ける事となる。

一次取得者を基準に考えれば、将来的に建替えは厳しいのでリフォームを意識した仕様が必須となる。おそらくココに最適解があると筆者は読んでいる。とりあえず今回はココまで。

 

以上

 

 

ダイソン掃除機DMよりHeat20を考える

バッテリーの性能を最適に保つために


朝晩の冷え込みが強くなって参りましたが、いかがお過ごしでしょうか?

 

一般に、充電式のバッテリーは、寒い場所や気温差の激しい場所で、性能が不安定になりやすいと言われています。冬場、極端に気温が下がる廊下などでの収納を避け、室温18 - 28℃で保管いただくことで、トラブルを防ぐことができます。

引用:ダイソンDM【ご案内】寒い時期にバッテリーの性能を最適に保つために

 

保管は、室温18℃以上28℃以下…

人間もバッテリーも室温18℃以上が必要と言う事です。

筆者は、過去にダイソンの掃除機を非断熱空間のサンルームに置いてバッテリーを約2年でダメにした経験が有る。ギリギリ保証期間内の為、カスタマーセンターへ連絡した際に「このバッテリーについての相談はかなり多い」と教えて頂いた。

 

アレから7年位経つが、このDMが届くと言う事は現在でも室温が18℃未満になる非断熱空間、又は、非暖房空間が多いと言う事だろう。

 

新築でも気密性能が悪い住宅だと温度ムラが酷くなる。ひとつの部屋(天井と床)だけで無く、家全体に温度差が発生する。

 

一部のブログで「エアコンを部分的に運転するより、連続運転した方が効率が良い」とか、「ヒートショックを避ける為に全館連続暖房を推奨」する内容を見かけるが、気密性能が悪い住宅では「穴の空いたバケツに水を貯める」行為と同じです。

 

強引に温めようとすると温度差が広がり、床と天井の間で10℃近い温度差が生まれる場合も有ります。高い温度で室温が安定する為、23℃設定では寒さを感じます。

正直、ECOでも健康的でも無いです。

少しの違いで断熱性能は大きく変化する為、家を購入する際は、気密性能を確保出来る会社を選択する事をオススメします。

 

掃除機の置き場と住宅の依頼先には、気をつけましょう。

 

 

 

 

 

2025年から住宅の構造が法律で変わります

2025年に建築法規の大きなルール変更があります。

ズバリ、『4号特例の廃止』。

具体的には、木造建築で2階建て以下、500㎡以下、高さ13M以下、軒高9M以下の場合、4号建築物として小規模な建築物と言う扱いとなり構造計算を省略することが出来るという事です。*全ての2階建ての個人住宅と思ってOK。

 

4号特例廃止によって変化する内容は、壁量計算の係数と柱の小径の変更が必要となります。

現在(2023年10月時点)での案は、一般的な階高2900の住宅では、柱をオール4寸にする必要がある上に、壁量が1.5~1.6倍必要(重い屋根材を使用した家と比べ)となり計算となります。

*多雪地域は除く。あくまで案の為、変更になる可能性もあります。

 

一言で言ってしまえば、25年4月以降の新築(ZEH基準相当)は、構造の見直しにより相当のコストアップが発生するという事です。

仕様で言うと断熱等級5以上の家で耐力面材が必須となり、全ての柱が4寸となる可能性があります。

ここで問題になる点は2024年に竣工した家が25年の4号特例廃止後の基準をクリアしない可能性があるため、市場は前もって25年の基準に変更する必要が出て来る訳です。

 

個人的な予測としては、24年の着工物件から徐々に値上げ傾向が発生する可能性がある。

3.5寸から4寸への以降については、木材の容積UP。

耐力面材は、現在使用していない場合は100%原価に乗ってくる物となります。

*場合によっては1棟当たり50万以上の価格UPの可能性がある感じですね。

 

正直、インフレで物価が上がり給料の上昇分が追い付いてない状況でやる事なのか疑問を抱いてしまう。個人的には断熱等67への移行も重なるため、途方もない価格上昇を感じてしまう。そして、消費者がソコまで望んでいるとは思えない。

『国は余計な事をしてくれた!』と感じてしまう人も多いだろう。

 

ただ、1981年に改正した建築基準法が現在まで変更していない事実を知ってもそう思うのか…ぶっちゃけ40年以上、木造建築の構造基準に変更が無く現在まで来ているのです。

 

現状は、構造計算をやらなくてよく『重い屋根材の家』と『軽い屋根材の家』の2パターンから係数が選ばれ必要な壁量を算出すると言った内容です。

そして、今後は『重い屋根材の家』『軽い屋根材の家』『ZEH相当の家』の3パターンが出来て、『ZEH相当の家』に集約される流れです。

 

重い屋根材の家と軽い屋根材の家って…

軽い屋根材の家にソーラーパネルをガッツリ載せても軽いのか?…

断熱等級7で付加断熱しても軽い屋根材の家で良いのか?…

 

冷静に考えると相当にサイコパスな状況。

深く考えなくても変えていく必要が有る法規だと理解出来る。

 

なぜ、阪神淡路大震災東日本大震災熊本地震などの時に改定されなかったのか…

なぜ、今なのか?見えない力の存在を感じてしまう今日この頃でした。

 

現在は新築のみで話が進んでいるが、リフォーム工事にも飛び火する可能性はある。

*24年の変革期に中古住宅購入の上でリノベーションを予定するのであれば慎重に。

 

同業者は、耐力面材の標準化とオール4寸のオプション設定を検討すべきです。

一般消費者は、この状況を理解した上で計画を検討する事をオススメします。

 

オール4寸って意味あったんだな、チョット反省。

 

以上。

 

 

 

 

気密性能(C値)について

この内容を理解すると建築会社選びが『クジ引き』では無くなります。

当たりやハズレで苦しむ事が無くなるはずです。

 

気密性能とは、空気の漏れる度合いを言います。

空気の密閉度が高いと高気密住宅。

空気の密閉度が低いと低気密住宅。

密閉度が高いと空気が勝手に出入りしなくなる為、断熱性能や省エネルギー性能が高くなります。足元が寒い、エアコンの風が強い等もコノ要素で解消します。

カッコよく言えばライフサイクルクオリティに影響を与える項目でもあります。

 

この技術は1980年代には既に北海道で一般化されており、意外と歴史は古いです。

近年のSNS等の影響により耳にする機会が増えた項目となります。

 

住宅の気密性能はC値で表されます。

C値=◯◯㎠/㎡

意味は、建物面積の1㎡当たりに有る隙間面積(㎠)と言う意味。

この数値は、住宅全体の隙間面積を機械で計測する事で分かるαA(空気抵抗を考慮した隙間面積㎠)と言う数値を基に計算して求められる。

※αA:アルファエーと読む。αは抵抗値。Aは断面積となります。断面積に抵抗を乗じて実際の空気が通る面積としたモノです。

 

αAは家一棟分の合計面積で結果が表示される為、床面積等で割った数値を指標とします。

C値は1㎡当たりの隙間の面積となる為、小さい方が良い。

建築会社の施工方法が異なるので、会社別、物件別に数値が微妙に変わって来ます。

 

前述した通り、本気で施工主や物件毎に内容が変わってくるので建築会社の選定に役に立ちます。

1,依頼先に気密測定の実績を確認。

2,過去の平均値を確認。

3,担当者の認識を確認。

施工精度のみを確認するなら上記3点で良いです。

担当者が『C値=1以下は余裕。平均0.5位』と軽く言える方々が、精度の高い会社だと判断して貰えれば良いと思います。

全棟気密測定を実施している会社は凄く良心的な会社だと思います。

回数を重ねて測定している会社ですと曖昧に言わずにハッキリ言える内容となります。

理由は、ある程度の経験(20棟位)を積み毎回是正し続けると変化が無くなる為です。

※個人的には御施主様より信用して貰えれば、いつも通りの事になる為、金の無駄だと思ってしまう。とは言え、御施主様からしたら『いつも通りって何?』的な話しなので測定には意味があると思いたい。

 

稀に過去1度の経験を強調する輩は存在する為、継続して測定している会社を選ぶ事をオススメします。

 

求める基準は、C値=1以下(理想は0.8以下)なら問題無いです。

経験則ですが、C値=1以下なら最低限やるべき施工を行なっているレベルと言えます。

そして、やるべき施工の精度が高まるとC値=0.8以下となるレベルです。

 

注意事項として、換気設備にて一種換気を採用する場合はC値=0.3以下で無いと漏気量(空気の漏れ)が多くなり導入する意味が無くなります。

 

C値=0.3で一種換気の効率が10%下がります。

正確に言うと必要換気量の10%が隙間風で室内に空気が流入します。国内の平均風速4M/Sの風が建物に当たると20〜30%程度となります。

ドイツのパッシブハウスの認定基準がC値で例えば概ね0.3以下位となる為、そう言った意味でも納得感のある内容となります。

C値は小数点第二位で四捨五入となる為、C値=0.1は誤差の範囲となる。

 

と言う事でC値=1程度で一種換気を入れる事はプラセボ効果の方が強い可能性があります。

 

この換気設備を絡めた内容は、気密測定の結果と計算方法を熟知していると理解出来ます。

暇で時間のある時にまとめます。

 

以上。

 

 

 

焦って家を買うか検討している人へ

皆さん周知の事だが、今まさに日本が変わろうとしている。インフレの影響やイルードカーブの許容範囲の拡大、金利上昇を見越したメガバンクや地銀の株高。忘れられた30年を終始見てきた私から見ても良い方向へ向かっている機運を感じる。

 

正確には価格が上がるのでは無く、円の価値が減っているだけだ。

物価上昇もゴリ押しで出来た。

給料の上昇を含めた物価上昇率を維持出来れば、金利を上げて、マネーサプライを引き締めようとしているが、タイミングが難しい。他国の足踏みを見計らいシナリオを描いている段階かな?と思う。

ただ、今まさに住宅購入を検討している人はちょっと困る。急がないと価格が上がるからだ。金利も見直されたら住宅ローンも厳しいモノとなる。

ハウスメーカーの展示場で同じ内容の張り紙を見た。

結婚したばかりの知人も焦っていた。

父親に焦らず金を貯めるよう促された様だが何故か聞く耳持たず悩んでいた。

悩みは皆同じだろう。

 

今は時代の変革期。

急激な変化は人を焦らせるが、こう言うタイミングは冷静になるべきだ。

 

コレと似たような急激な変化は、以前も合った。

 

サブプライムローンの問題の時、リーマンブラザーズの破綻劇の時、あの時は経済が急激に悪化していく実感が有った。

ただし、2005年頃から2007年位迄の間は、何故か皆さん浮かれて焦っていた。

驚くだろうが当時ローコストハウスメーカーの展示場には、土日2日間で100組を超える来場が有った。55歳オーバーの建替えも住宅ローンが普通に通った。金利4%。当時、担当していた施主は死んだらチャラだからありがたいと笑ってた。

まさに入れ食い状態で契約が取れた。

あの頃、勢いをつけて成長したのはタマホームだ。

色々と浮かれているうちにサブプライム問題が浮き彫りになり一気に景気が悪化。その後は、建築会社の破綻劇が続いた。2009年の富士ハウスアーバンエステートなんか凄まじい破綻だった。

富士ハウスの破綻時は、某キッチンメーカーも一緒に逝った。売上の依存度が高かったのだろう。

当時、会社が破綻しても工事を引き継げるシステムも有ったが機能していた記憶が無い。

どんな状況でも、客を焦らせるのは営業の役目。

焦らせるトークでジャブとテストクーロージングを掛けて、一気に畳み込むのは今も昔も同じだ。

サブプライムローンの時もしっかり焦って契約していた。アーバンエステートの破綻劇の時、知人が支店長をしていたが前入金の割合を増やす条件で値引きをしていた。本人は朝出社して会社が倒産した事を知って即その場を逃げた。

本気で怖かったと言っていた。

 

昔話はこの位にして。

 

今はデフレからインフレへの転換期。

金利ゼロからの上昇局面への転換期。

国内経済は良くなる方向へ向かっている最中。

 

でも、住宅業界はコロナやインフレの影響による破綻が多い。高性能化や値上がりばかり注目されているが、住宅業界の実体は大変な状況だ。

 

今この状況でも冷静に決断を出す事が出来る人は契約する事をオススメします。

 

理由は、コレから人件費分の値上がりが必ず来るからです。

おそらく売値の10%と予想。ガソリン価格の高騰も有る為、10%の幅を想定。

どの位の期間で価格改定が起きるのかは不明。

地震と同じ予測不能と言ったレベルだが、現在大工さんの数が激減している。

物件数と大工さんの推移がデットクロスする手前にいる。

現場を見ても20代の職人と会う事が無い。外国人の職人も少なくなった。

今はそんな状況だ。職人の単価が上がるのは簡単に想像できる。

 

しかし、焦る必要はない。

 

理由は、既に売値と買い手側の収支バランスが崩れている状況で住宅ローンが追いつかない人が続出。悲し事に強気に値上げ出来ない状態です。

そして、ウッドショックの木材値上げ分は既に以前の単価へ戻っている。

市場は、強気ではなく完全な弱気ムード。

現状、何もしていない状態で今年に入り大手流通業者が2社破綻している。

財務レバレッジを無視して無駄な投資を行なった結果だろう。

 

そして、アメリカの利上げ停止観測と円安。日銀の利上げ観測の一進一退。

この状況が長期間継続するとも思えない。

そして、来年はアメリカ大統領選挙

専門家で無くても何かが起こる可能性が高い事はイメージ出来る。

経済は悪い方向に向かっていないが、変革期の歪みの様なモノは生まれるだろう。

割を食う人も中には生まれるかもしれない。

 

だから、今この状況で冷静に判断出来る自信が無いなら一旦立ち止まる事もアリかも知れ無い。

 

勢いが無いと契約は出来ないのが現実だが、時代の機運に焦って行動するタイミングは良くない事が起こる可能性は高いと思う。

 

着工後に依頼先が破綻した『施主と物件』はヤバイ。屋根屋・外壁工事屋が先に支払いが有るので、金回りが怪しい会社は業者が一斉に手を引く。結局、屋根の施工や外壁も張られずに放置される。透湿防水シートの寿命は2ヶ月野晒しで劣化が始まる。終いにはお化け屋敷の完成だ。

コレを防ぐには、信用調査しかない。

 

私の尊敬する工務店の社長は、『家は現金で買うモノだ』が自論です。本人は、50歳オーバーまで株式投資を行いコロナ禍に一気に利確して家を建てた。ウッドショック真っ只中で。ちょっと、もったいない気もするが本人は満足していた。

結局、本人が満足すれば良い。そんなもんだ。

 

結論、焦って買っても良い事ないからゆっくりでOK。

 

以上。