全館空調システムって不要だと思う

先日、全館空調システムの営業を受けた。

感想は、必要性を感じない。

学校を卒業したての若い設計士相手にする営業トークなら通用するかもしれないが、筆者はアレだから通用しない。

 

正直言うと断熱性と気密性を上げてしまえば、エアコン一台でも室温は一定になる。あと、少し工夫が必要だが、ココでは伏せる。

そもそも、エアコン1台で運用する必要も無い。

 

営業を受けて思った事

1.そもそも全居室同じ温度にする必要は無い。

2.循環ファンを推すが気流が不快感の素になる。

3.ダクトへカビは発生しないと言うが問題はソコだけでは無い。

4.壊れた時の備えとして一台エアコンを着けられる様にコンセントを用意しておく。

 

1.室温22〜23℃が快適な指標になっているが、大人がスーツ(長袖・長ズボン)を着て着座している事が条件で出てくる数字だ。寝室で布団を使うと条件が変わる。

 

2.システムの都合上、循環用に送風ファンを必要とする。結果、空気の循環を強調してくる訳だが、室内で空気の流れを人肌で感じると不快感が増す。理想は無風。1000m3/h以上(エアコンレベル)の送風を常に行って気流が発生しない訳が無い。

※快適性能の指標であるPMV評価は、温度、湿度、放射温度、気流速、着衣量、活動量の6つの要素から算出される。例えば、エアコンの冷気を吹き出し口で直接浴びれば不快になる。温度差と気流速が速いからだ。ココを勉強するとサーキュレーターや循環ファン等も不要と言う答えに至る。

 

3.常にエアコンを動かして入れば吹き出し口の温度は室内温度に近づく。ダクトのカビはON OFFの問題だと思うが問題はソコでは無い。単純に送風ファンが増える為、メンテナンスが必須となるファンが増えると言う事だ。エアコンはフィルターの目詰まりでも結露が発生する。汚れるのは、ファンの羽や熱交換器のフィンだ。365日24時間営業しているコンビニの天井についたエアコンを見れば納得するだろう。アレも定期的にメンテや清掃をしている。又、自宅のエアコンも常時稼働させた状態にして奥を覗い見れば引くレベルでカビが見える。

 

4.コレは論外だろ…。高い金払ってエアコン1台を循環ファンで送風するなら、各居室にエアコンつけて連続運転でも良い事になる。

イニシャルもランニングコストも下がるはず。

 

断熱性や気密性をしっかりしてやれば、床や天井等の表面温度は安定する。冷暖房機器にストロングポイントなんぞ不要だと思うんです。

ビルやホテルの空調は専門業者が定期的に掃除してるから問題無いんであって、個人管理で掃除も個人になるならオススメはしない。

 

レジオネラ菌で検索すれば、可哀想だが菌が原因で亡くなっている事故も多いです。アレも空調システムのメンテナンスが原因の場合が多い。個別エアコンだってドレインパンの汚れは誰も検査していないのが現実だ。考えたくは無いな。

 

今から15〜20年位前だった気がするけど、以前も全館空調システムの流行りは有った。あの当時に売れたモノは壊れて復旧出来ない場合もある。

 

この業界の悪い習慣だと思うが、流通側もモノを知らないで売ろうとする人間が絶えない。

良い値段で売れるから持って来たのだろうが、不要な上に金の無駄だ。

 

何事もメリット•デメリットがって表裏一体と言うレビューを書いた、ブログも多いが。

日本の木造建築において温熱環境がガラパゴス

令和にポケベルやPHSの評論しているレベルに感じてしまう今日この頃でした。

 

以上。

 

 

 

 

 

 

断熱パネルの疑問

プレファブ構造とはあらかじめ工場等で作られたパネルを現場で組み立てる工法となる。

ユニット型やパネル型等木質系や軽量鉄骨等種類も形式も様々だ。

メリットは、工場への出資に見合う効率化と製品の安定性。現場の組立による工期短縮(コストダウン)に尽きる。産業化=効率化=コストダウン?と直結して考えたいが残念ながら安いモノでは無い。

大手ハウスメーカーで言えば、大和ハウス積水ハウスミサワホームトヨタホーム等が代表的な存在となる。※他も超有名所は存在する。

超有名所が目白押しと言った感じだ。

コレだけのメーカーやシェア率を考慮しても検討の余地はあると思われるが、正直言って安くは無い。

日本一安い住宅メーカーの飯田産業グループは、在来工法だ。

日本一プレカットの加工を行うポラスグループも自社物件は在来工法だ。

中国木材やテクノウッドワークス等の超有名プレカット企業もプレファブ工法や断熱パネル等は取り組んでいない。

数の理論を考えれば、シェア率が高ければ効率化した方が儲かるはずだが、やっていない。

飯田産業グループは海外進出を企てるレベルだ。

ロシアの件、どうなったのだろう。気になる。

産業革命の後、世界は大量生産大量消費に至った。今やカップヌードル無人工場。世界一安価でクオリティの高い非常食だが、建築業界ではソウハイカナイ。不思議だ。

冷静になって考えれば、一部のハウスメーカーは取組んでいるがベンチャーは現れず。

近年業界でニュースになった大型パネル工法は話題性こそ有ったが最近話を聞かなくなった。

スタートして3〜4年経っているはずだが、最近では一棟建てるだけでも話題になっている気がする。

大工や作業員が消えるより、インフレの影響でビルダー側が生き残れ無いと気づいたのか。

今や合理化の言葉も聞こえない。

そもそも、効率化で利益増加では無かったのか?

バフェットも投資する商社や超大手企業が出資して効率化を図っても、この現状がプレファブ構造の本質なのかもしれない。

むしろ、最近現れたベンチャー企業は、住宅ローンを問題視して3Dプリンターで安価に家を作ろうとしている。実際に形になるか不明だがこちらの方が期待出来る気もする。海外では既に事例も有るようだ。

断熱パネル工法であっても結果、安くは無い。

高性能を謳うが切って組み込む断熱材は一般商材だ。安くなるわけが無く、耐震性を語っても耐力面材を入れれば結果は変わらず。むしろ、建築士が構造計算すれば安くなる。結局、モノを知らない方へのPR販売でしか無いのかもしれない。

結論を言えば、効率化を求めてプレファブ構造にしてもおそらく儲からない。安く儲かる良いモノであれば普及は早い。

※古参な大手プレファブメーカーは、設備投資の回収が終わっても企業の母体維持に金が掛かるのだろう。

海外へ視察に行った多く輩は、『日本は、人が関わる数が多いから家は安くなる訳が無い』とボヤク。海外はクレジット決済だから流通がシンプルで無駄な利益が乗らず安くなる。

 

なんだかなぁ。

 

以上。

 

 

 

 

 

 

樹脂窓と実際の性能のギャップについて

窓の断熱性能は、サイズや種類、窓ガラスとガス、ガラスとフレームの間に入れるスペーサーの仕様によって変化します。

EW・スマージュの断熱性能は、概ねUw値=0.79〜1.27。

(ホームページより転載)

APWの断熱性能は、概ねUw値=0.78〜1.37。

(ホームページ・カタログより転載)

共に樹脂窓であり、断熱性能の差は選ぶ仕様によって変化する為、APW430+を除けば大差無い様に思います。

※APW430+は窓枠の中に断熱材が入っている商品。Uw値だけでは評価出来ない枠の表面温度を考慮した窓の為、コンセプトが違う。

 

カタログ値のみだけで見れば、性能面に大差は無くメーカーの持つイメージだけ選べば良いと思うのですが、個人的に決定的な差はあると思っている。

結論から言えば、EW・スマージュⅡとAPWは、エアタイトの構造に違いがある。

※どうせこの記事はリサイクル性やカタログ値記載のUwを書くのだろうと思った輩は多いと思う。同業者なら概ねそう思ったと思う。

しかし、私はそんな低レベルな事を書く気は無い。

 

本題のパッキン構造について。

写真1EW 引違い窓のパッキン(側面)

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写真2APW 引違い窓のパッキン(外側)

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写真を見ればお分かり頂けるだろう。

EW・スマージュⅡは、パッキンの構造上どうしても歪みを生じさせ隙間が出来てしまう様に思える。

一方、APWのパッキンは外側のレールとの干渉によって気密性を確保している。つまり、パッキンの歪みは発生し難い構造と筆者は捉えている。

※あくまで個人的な感想です。

 

【お菓子の箱へ立体的に紙を貼って再現すれば歪みが発生すると理解出来るはず】

 

いつも、調整前だから隙間は有って当然と御施主様へ説明する。

窓と言うモノは調整しないと漏気はあって当然、最終的にしっかり調整して隙間が無くなればどちらも大差無い。

ただ、個人的にEW・スマージュⅡのコレどうやって調整するんだろうと疑問を抱いている。

通常、引き違いは窓の傾きを調整するモノです。

『パッキンの歪みはどう調整するのか?』

『パッキンを外し現場で入れ直すのかな?』

『竣工時にそんな姿は見たことない…』

餅は餅屋、色々やり方があるのかもしれない。

 

※辛口トークだが、写真の様なパッキンの歪みは多くの現場(引き違い窓:四隅内外)で確認が出来る。

縦滑りも気密測定時にパッキンから風を感じる事がある。あくまで主観だがパッキン構造が緩い。

決して、ホームカントリーバイアス等では無い。

 

多くのYouTubeチャンネルやブログ等で、気密性や断熱性能が高くメーカーが本気で作った窓と謳われているが皆さん節穴(ステマ?)なのかもしれない。

又、担当者より同様な営業トークを受けるが気密性の良し悪しは、現場で無いと確認が出来ない。

 

現場で窓を『じーっ』と見ていないと解らないポイントでした。

どちらも良い窓だと思うけど、私がAPW派な理由でした。

ちょっとキツイ内容ですが、個人的なレビューだと思って頂ければ幸いです。

 

※現在(2023年)、LIXILと三協立山三協アルミは相互OEM供給の為、同じ製品になっている。

LIXILなら、EW。

三協立山三協アルミならスマージュⅡです。

 

以上。

 

断熱等級5(Ua値=0.6)の断熱性能について

冷静に考えるとUa値=0.6は断熱性能が低いと思う。

Ua値=1.57から0.6へ断熱性能を上げると下の様になる。

 

Ua値=1.57

→断熱材の性能を上げて、窓をアルミ樹脂ペアへ変更

Ua値=0.87となる

→樹脂窓へ変更

Ua値=0.6へ至る

結果、概ね開口部の強化のみで終わり。

外皮表面積の影響は未考慮だが概ねこんな感じだ。

昔はトレードオフや型式認定等の酷いルールが有った。

今はマトモになった感があるがソレでも一部を除いて昔のままだ。

 

6地域限定となるが、主観的に断熱性能Ua値=0.87からUa値=0.6が一般的になるのに13年程度掛かった。

樹脂窓への理解で13年…

(その間iPhone は4から14へ進化)

 

13年位前に慶應大学近畿大学の教授が温熱環境と健康への影響を公表。東京大学の准教授が色々と担がれ始める。室温による死亡事故が交通事故件数を超える事が発覚。ニュースになり各地でセミナーが開かれる。

Heat20(断熱メーカーと有識者のグループ)によるG1、G2、G3の発表。

断熱性能と室温の関係が認知される。今の基準で断熱等級5、6、7に相当。

G1:室内10℃を下まわらない性能(現:断熱等級5)

(15℃未満になる割合15%)

G2:室温13℃を下まわらない性能(現:断熱等級6)

(15℃未満になる割合10%)
※6地域の為、部分間歇暖房。

 

YouTube等で得意気に仕様基準を語っている方々は概ねHeat20が元ネタ。

それ以外存在しない。

ぶっちゃけ10年程前にHeat20設計ガイドブックが出版された時にG1とG2にする為に必要な断熱仕様が本に書いてある。興味有れば読んで欲しい。

 

断熱性能と室温の関係が公表されて、窓を樹脂窓へ変えればG1(断熱等級5)になる。

得意げに室温を語る大人と共にUa値=0.6の注文住宅が大量発生。

そんな感じで一般化した感じだ。

 

直近の流れを見ると。

コロナ禍で巣篭もり需要と共にYouTubeの影響で高気密が認知度を増してきた。

高断熱?の割に冬場の家が寒い、「原因は気密性能」と言う感じだ。

 

ぶっちゃけ気密が改善されてもUa値=0.6は、室温10℃を下まわらない性能(15℃未満になる割合15%)だから暖かくなる訳が無い。

 

家が寒いのは暖房の使い方が悪い(部分間歇暖房)だから、全館連続暖房にしよう。

結果、電気代が爆上がりで家全体同じ温度にならない不具合が続出。

電気代や温度ムラを抑える為に熱交換換気や全館空調システムを導入検討。

一部で流行り始めている。

 

恐らく数年後にイニシャルコストが悪く電気代が抑えられない事に気がつくだろう。

そして、衛生面に問題があると理解する。

※カビだらけのエアコンを見ればわかると思うが、熱交換換気や全館空調システムも簡単に同じ状況になる。

 

室温を安定させる為に熱交換換気や全館空調システムを導入等の設備に走る事は悪手だ。

 

冷暖房機器はヒートポンプを使用したエアコンが最適解。これ以上、コスパの良いモノは存在しない。全館空調システムもエアコンに送風ファンをつけてたモノだ。壁掛けエアコンと変わらないが送風機能を付けただけで無駄に高価だ。エアコン1台25万。全館空調システム1件で200万。高性能壁掛けエアコンを各居室につけた方が良い。

 

必要になる冷暖房出力は断熱性能(Ua値)で決まる。設備を変えても(エアコンに送風ファンをつけても)必要になる出力は変わらない。そして、電気代は変わらない。

熱交換換気は、効果が限定的過ぎて有っても無くても変わらない。

無いとダメと言う人は、本質を理解していないか誤魔化している。

 

結局、断熱材の性能を上げない限り温度ムラも無くならず電気代は下がらない。

 

冷静にUa値=0.6を考えると13年前の大した努力も無く窓を変えるだけでG1と言うそれっぽい名前と何となくな性能を得られるから拡散されたモノなのかもしれない。

当初、Heat20のシナリオでは『コスパの良い量産型』と言っていたが狙い通りの結果だ。

当時、G2(現在の断熱等級6)はコストが上がるから無理だと多くの設計士が言っていた。

 

壁や天井の断熱性能を上げる事に躊躇するのは、繊維系断熱材を使用していない結果なのかもしれない。

例えば、高性能GW16kを高性能GW36kなど密度を変えれば施工内容を変えずに簡単に性能を変えられる。天井断熱なら野縁の上に載せる量を増やせば良いだけ。熱交換換気や全館空調システムの方が高価だ。

 

現場発泡ウレタンの場合はモノが変わる。屋根と壁で種類を分けたら工事は面倒でコストアップするのは誰が考えても理解出来る。

パネル断熱は工場の投資がどれだけ進んでいるのかによって対応の幅が変わる。

 

と言う事で、Ua値=0.6の家は壁の断熱性能が10年前から変化していない事が理解出来ただろう。

設備に頼っても金の無駄、本当に必要なのは断熱材のアップグレードです。

予算の関係も有るが可能で有れば、断熱等級6の家を建てる事をオススメします。

工事面積を減らしても断熱等級6にする方が良いかもしれません。

 

とりあえず以上。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

湿式外張り断熱について

EPS(発泡スチロール)を外壁面に施工し、その上に仕上げ材を施工する方法。

実はコレについていくつかの疑問点が有る。

っと言うよりも、疑問を上げればキリが無いが1.2.3について考察すると筆者は現段階では採用はしない。

1.通気層が無い事。雨水を排出する溝は有る。

2.EPS(発泡スチロール)の断熱性能を熱計算に組み込む事。

3.透湿性と吸水性。

通気層は、漏水時の最後の砦となる。

ソレを無くして透湿防水シートで挟む行為は、毛細管現象で壁内に雨水が浸透する可能性が出てくる。

また、気密性能が高まると建物内が負圧になるモノだが通気層が無い為、内外圧力差による影響をモロに受ける可能性がある。

仕上げ材も経年劣化でひび割れが入る可能性もある。初期状態で有れば憂慮する必要も無いが日射や振動、乾燥収縮の影響は計り知れない。結果、クラックが入ったら防水性は極端に下がる可能性が有る。

あくまでも可能性の話しだが、建物寿命は長い。

何が起こるか予測するだけ無駄だ。

メンテナンスを行えば良いのだが、一般人が定期的に保守点検を行うとは思えない。

古くなった建物の外壁を剥がすと通気層が有っても木材が劣化している姿をよく見る。

透湿性が有って通気していても雨仕舞いによって劣化してしまうという事だ。

リスクを無くす方が重要だと筆者は思う。

 

そして、熱計算に組み込む事について。

シワ加工を施した透湿防水シートをEPS(発泡スチロール)と建物躯体で挟んでいる。当然、漏水時に排水する様に溝が切ってある訳だが、一部建物に密着していない。密着していない部分が有っても断熱性能を計算して組み込んで良いのか疑問だ。

熱伝導率は、発泡スチロールの数値を適用させて厚みで計算すればどの状態でも熱抵抗値は計算出来る。

Ua値は、適当に計算しても結果が出るのは光熱費の請求書を見てからとなる。正直、冷蔵庫等の電気代に混ざってしまいわからなくなる。

立地、間取り形状が同じ建物を建てない限り本物の付加断熱と比べる事は出来ないだろう。よって、プラセボとなる可能性は否定出来ない。

 

最後に透湿性と吸水性があるという事だ。

完全に吸水しないので有れば透湿性の無い外張り断熱材と同じ発想で、壁内が露点温度にならなければ良いのですが、小口からは吸水する上に透湿性は存在する。室内からの湿気はどうなるのか疑問だ。24換気で逃げるのか気密シートで逃げるのか、どちらにしても全てが中途半端な気がする。

 

以前、結露対策のセミナーを受けた際に講師が『防水層と断熱層、気密層は全て別にした方がリスクヘッジになる。全てを一緒にすると一箇所がダメになると全て影響を受ける。』と言っていた。

全くその通りだと思う。

卵を同じ籠に全て乗せてはいけない。

建築でも使える言葉だった。

恐らく、湿式外張り断熱工法を推奨する方々は、外壁の施工だけで付加断熱になる事をメリットにしている欲張りさんだ。

安く付加断熱を施工出来る良アイテムと言った所だろう。

気持ちはわかるが、正直、あまり安全とは思えない。という事で、無駄にリスクを背負う必要は無い。

 

通気層のある工法をオススメします。

 

以上

中古住宅をフルリノベーションと言う選択肢

近年のインフレによって新築市場が様変わりした。およそ35年前の価格に戻った感じだ。

土地建物含め4000〜5000万。

土地建物含め3500万で計画する分譲住宅はどこへ消えたのか。

日本最大のローコスト住宅『飯田産業』も断熱性能を見直ししてUa値=0.6を標準とした。

※窓を樹脂窓へ変えただけだろうけどね。

現状では坪単価70〜80万(30坪前後)で見ても職人さんの手間代が上がっていない。という事は、およそ10〜20%値上げする必要が有るのが本音だ。

土地と建物+手間代10%UPさせた場合、断熱等級5(Ua値=0.6)の家でも、2500万〜3000万近くまで価格は上がる。

土地2500万の区画で2500万の家を建てれば5000万必要となる。恐らく分譲住宅もココの価格帯まで上がっていく感じと予想。世知辛い世の中だ。

 

そんな状況下で話が出てくるのが、中古リノベーションだ。ここで話題に上がるのが、柱を残した全撤去の改修工事。そして、見た目だけで無く性能も新築レベルまで上げていくモノだ。

具体的には築20〜30年程度の中古住宅をフルリフォームする。掛かる費用は概ね2000〜2500万。

物件の取得が2000万程度なら断熱等級5〜6レベルの新築と同程度で500〜1000万程安く仕上げる事が出来る。

この取り組みは2年程前から徐々に話題に上がって来た。事例は少ないが水面下で各社動いている感じだ。

悪く無い。悪くないけど、引っかかるのは中古物件の状態だ。経験上、柱や土台が腐っているモノをよく見る。数は少ないが腐っていないモノも存在する。コレばかりはインスペクターでも非破壊検査の限界がある。

と言う訳で、中古市場で気になっているのは木造では無く軽量鉄骨造だ。高気密高断熱を旨としている筆者としては、熱橋の関係上、新築では決して選択に上がらない構造だが、フルリノベーションの材料として考えると構造材に劣化が少ない軽量鉄骨築は有りかも知れない。

※外張り断熱を行えば熱橋は考え無くて良い。

 

これから家の購入を検討している若い方々、無理な資金計画を組むのはやめて中古リノベを一度検討して見てはいかがだろう。マンション購入は、必ず修繕積立費と管理費などで苦しくなる。

住宅ローンも金利が上がる。中途半端な新築を買うより賢い選択かもしれない。そして、今ならまだ妙味のある中古物件は市場に在るはず。

 

ココ数年のウチに中古リノベーションと言うカテゴリーが市民権を得るだろう。リノベーションと言ってもデザインもこだわって作るので見栄えも満足するはず。興味が有れば『性能向上リノベ』で検索すると面白いモノが見られる。

 

フルリノベーションの流行りの後に3Dプリンター住宅が形になるのかな?アレが形になれば設計士も施工管理士も職人さんも必要としない世界になるのかも知れない。少し寂しいな。

 

以上

 

 

夏型結露(備忘録)

気密シートを施工した現場でエアコンを動かした。

石膏ボードで壁を塞ぐ前の状態。

夏なので外気温35℃、室温26℃、防湿気密シートの外気側に結露は発生していなかった。

構造は、耐力面材+高性能GW16k+防湿気密シート。

気密性能はC値=0.2。

夜間の放射冷却が原因で発生する結露跡も無かった。

 

夏場に外気が35℃の時、車で冷房を24℃に設置しても窓は曇らない。

夕立が降っても曇らなかった。

 

エアコンの冷気を窓ガラスへ直接当てると曇る。

走行中でも冷気を直接ガラスへ当てると曇る。

走行中は、凄い勢いでガラスの結露側へ風が当たる。

透湿しまくりの状態だ。でも、結露は止まらない。

ガラスは透湿抵抗値は最強だ。

防湿気密シートとは比べ物にならないレベルで水蒸気を通さない。

やはり、夏型結露は透湿や透湿抵抗でどうにかなる問題ではなく露点温度の問題だと理解出来る。つまり、適切に管理された建物では夏場にエアコンの冷気を断熱材の入った壁へ直接当てない限り内部結露が発生し難いと言う事だ。

※通気が取れている前提で。

そして、内部結露が発生した場合、凄く透湿性能が高くても露点温度に下がる原因を解決しないと結露は解消されないという事だ。

考えるれば考えるほど可変透湿シートやセルロース断熱の夏型結露予防効果は誇大広告にしか思えない。

冷静に考えてみれば、夏場に一般住宅の窓が結露している姿を見た事が無い。

 

国交省経済産業省は、市場に出回る建材をプロモーション含めて規制すべきだと思う。

 

昔、基礎断熱で床下に一種換気を入れるメーカーが地熱利用と広告で語っていたが、いつの間にか消えていた。

 

全く恐ろしい世の中だ。

 

以上