夏の節電(エアコンは外出時に消しましょう)

テレビで夏の節電についてエアコンを常時つけた方が節電になるとメーカーの広報部の方が語っていた。サムネレベルで断片的に聞くと24時間連続運転した方が節電になる様に聞こえる。

勘違いしてはいけない。

正しくは、外気の条件にもよるが約30分未満の外出なら着けたまま外出した方が節電になるとの事です。

ダイキンさんのホームページに記載あります。

 

今更なぜこの様な事を書くのかと言うと、『24時間エアコンを連続運転した方が安いんでしょ?』と聞かれる事が多々あるからです。

 

何を基に安くなると言っているのか不明ですが、意外と勘違いしている人が多い気がします。

この質問を言う方々は、立ち上がりに電力を食うから部分使いはロスが多いと必ず言います。

そして、話を飛躍すると全館空調システムは省エネと言ってしまう方々も高校の物理をやり直した方が良さそうです。エネルギー保存の法則を勉強した方が良いです。

 

残念ながら、エアコンを24時間連続運転しても電気代が安くなる事はありません。

使ったら使った分だけ電気代が掛かります。

COP効率はあるモノの『基本は等価交換』です。

太陽光発電と蓄電を組み合わせて余剰電力の消費先でならアリかも知れないが条件が厳しいと思う。現実的ではない気がする。

 

昔話になるが12年位前にパッシブハウスが流行った時に南雄三先生のセミナーで『日本人は、部分間歇(カンケツ)冷暖房だから、生活が既に省エネです。ですから、高気密・高断熱にしてエアコンを連続運転しても省エネには成りません。』とハッキリ言っていた。

※部分間歇冷暖房とは、人の居る時間と空間のみ冷暖房機を動かすという意味。

当時、強烈な衝撃を受け素直に納得した。それと同時に床下エアコンが流行り始めていた時期の為、何とも言えない気持ちになった記憶がある。

 

超高気密・超高断熱住宅(断熱等級6〜7程度:G3)の場合、設定温度に達したらエアコンが勝手に止まり保温性能が高いのでそのまま室温を維持。しばらく停止後、室温が下がり始めたら再稼働。室温を一定に保ちながら、部分間歇冷暖房と同じ動き方になると言う事です。日影の計画と日射の考慮が必須条件となり。

 

それ以外の一般住宅では、設定温度に達しても保温性能が低い為、エアコンは稼働し続ける。

だから、24時間連続運転はお財布に優しくありません。

 

低気密•低断熱住宅では、エアコンがフル稼働の状態が続く為、エアコンの風が不快になる訳です。

寒がりの方がエアコンを嫌う一番の理由かも知れません。

 

私の記憶では築12〜15年程度の家は、断熱基準が非常に低く技術者の意識レベルも低かった為、新築住宅でも断熱欠損(断熱材が入っていない部分)が当たり前に発生していた。入れ忘れも普通に発生していた…

今でもローコスト住宅では、断熱材の入れ忘れコソ無くなっただろうが、技術者の意識レベルは当時と同程度だろう。

 

皆さん大好き『HEAT20』でも、G2レベルになってようやく12年位前の住宅で全館連続冷暖房を行うのと同じランニングコストになると言っている。断熱等級5(G1レベル:Ua値=0.6)で全館連続冷暖房すると逆に電気代が高くなります。

G1レベル程度で全館空調システムや一種換気を導入しても省エネでは無いと言えるかも知れません。

ちなみに、夏場に涼しい部屋と暑い部屋が生まれる中途半端な住宅へ一種換気を導入すると温かい空気と涼しい空気が混合されて生温かい給気となります。笑ってしまうが一種換気を導入しても涼しくなりません。そして、電気代も増えるはずです。

 

話は長くなりましたが、既存住宅での節電対策は、窓への日避け(簾やシェード)、窓のガラス面へプチプチ設置(熱割れ注意。網入りガラスはNG)が基本です。エアコンのプレフィルターのお掃除も1週間に1回行った方が効率が良くなります。

 

故障リスクは有るが室外機にバケツに水を張ってタオルを垂らし常時天板を濡らす方法もアリかと。故障リスクが怖いなら室外機へ日避けをつける事をオススメします。

※室外機の熱交換フィンへ水道水の散水は禁止です。初めは良いが、次第にミネラル成分が固まり熱交換効率が下がるはずです。

 

こんな世の中だからこそ誤った情報は、命取りになります。

皆さん気をつけましょう。

 

 

 

工務店とその意味

ウチは、性能をソコソコにしている。

『ソコソコの性能』と『ちょうど良い性能の家』。

可もなく不可も無い性能。

パッシブハウスとか、インスタでC値=○○とか上げているヤツ。

そう言うのは要らないと言う工務店の経営者に会う時にいつも思う。

ソコソコの性能で良いと語る人って、大抵はソコソコでは無いです。

どちらかと言うと『中の下』以下が多い。

何を持ってソコソコの性能と言うのかは不明だが本気で言っている場合は、要注意。

勉強不足が多い気がする。

建築の勉強はしていないが投資の勉強はしっかりしていると言った感じだ。

やりたい事と言えば、ちょうど良い売価設定で手間を掛けずに売れる家。

工務店と言うより、ECサイトの運営者だ。

 

話は変わるが、1990年代には今の住宅(温暖地域の断熱等級5相当 Ua値=0.6の家)と同レベルの家は存在していた。信じられないかもしれないが寒冷地では意外と多い。

歴史を紐解けば、30年の時を経て本州(温暖地域)で一般化した感じだ。

現在の北海道では、注文住宅の市場においてUa値=0.3前後の家が割と多く存在している。

 

現在の建築業界では一条工務店が『家は性能』として最高性能な住宅を作っている。

注文住宅着工棟数ランキング上位で爆走中だ。

 

日本一安価な『飯田産業グループ』も『ある程度の性能』を持ち始めた。

 

ローコスト住宅の『タマホーム』も 『Ua値=0.23』を売り出した。

*気密性能を具体的なレベルで語っていない。実際どうなるのか気になる所だ。

 

この現状を、一般消費者はどう捉えるのか。

(もちろん、現在のインフレで苦しい状況なのは重々承知の上だ。)

 

創業100年15年黒字経営をこなす工務店の社長は、オーバースペック位でないと資本力のない地場の企業は生き残れないとあっさり言う。包み隠さず、自社の経営方針や運営コスト・粗利率・経常利益を記載したノートを社内で共有している。部外者の私にも見せてくれた。経営に自信は無いが、迷いながらも胸を張って周囲に頑張っていると証明するのだと笑って済ます。

彼が手掛ける家は、断熱等級6・7を基準に自社で全棟構造計算をこなす。

ブランディングや高性能化なんか当たり前ですよ。やらないと次世代にバトンタッチ出来ないですから。(笑)』

 

同じエリアに存在する2社の違いは、同じ業界に身を置く者として深く考えさせられる。

 

ソコソコの性能を語っていたら、10年後に『あの会社に依頼して良かった』とOB客に言わせる事は無い気がする。

 

以前、ZOZOがスタートトゥデイ工務店という名前で新会社を設立した。

建築と無関係なIT企業だ。だが、社名の由来を見ると『エンジニアやデザイナーが職人として、プロ意識を持ち自己研鑽をする職人集団になって欲しい』と記載があった。

※ずーっと筆者の脳内に残っていた言葉だ。

 

恐らく一般消費者のイメージする工務店は、ZOZOの工務店に対するイメージと同じだろう。

 

ソコソコの性能、ちょうど良い家を提唱する人は一般消費者が持つ『工務店のイメージ』とは違う気がする。

 

自宅を建築する際は、必ず経営者の考えを聞いて欲しい。

話を聞きたいと言えば、必ず応じてくれる。

浅い考え・軽い説明で済ませる人は、手掛ける仕事も浅く軽くなる。

 

カッコイイとかお洒落とか、雰囲気が良いとか、安いとか・・・

そんな事より、信用出来る人間か見極めましょう。

代りの者が対応したらソレは、経営者が現場を離れた証拠だ。

建築を依頼する価値が無いかもしれない。

 

正直どんなにネット検索で調べても、素人は玄人にはならない。経験数が違うから。

 

だからこそ、人として対話する事をオススメします。私は、いつも経営者と対話すると『ダメだな』とか『凄いな』とか何かしら感じる。

一般消費者も同じだと思う。

 

何かしら参考になれば幸いです。

とりあえず、以上。

 

 

 

 

 

 

 

15年前と今2023年の違い

15年前 リーマンショック 断熱等級3

4地域 Q値=4.5  約Ua値=1.54w/㎡k

 

12年前 東日本大震災後 断熱等級4

4地域 Q値=2.7  約Ua値=0.87w/㎡k

 

8年前 Heat20ガイドブック発売 断熱等級5

6地域 約Q値=1.9  Ua値=0.6w/㎡k

 

現在 インフレ 断熱等級6・7新設

6地域 等級5 約Q値=1.9  Ua値=0.6w/㎡k

6地域 等級6 約Q値=1.6  Ua値=0.46w/㎡k

6地域 等級7 約Q値=1?  Ua値=0.23w/㎡k

※地域区分4・6は、首都圏等の温暖地域。途中で地域区分の基準が変わったので4・6となっている。

※Q値を記載したのは、10年以上前に既にQ値=1の家を提唱していた人がいた。当時の仕様と比べると凄い高性能だと理解出来る。

 

首都圏等の温暖地域において、論外な15年前を除き、12年前から現在(現在の多く採用されているUa値:断熱等級5)に至るまでUa値で0.27しか変化が無い。

主にアルミ樹脂複合窓から樹脂窓への変化。

YKKAP(株)が日本を変えてくれたと思う。感謝。

対するアルミ樹脂複合窓を売っていたメーカーは、当時『〇〇の地域では紫外線量が多いので劣化を考えれば、外はアルミが良い』と言っていた。当然、今は樹脂窓を売っている。足を引っ張るだけではなく。トレンドが変わるとあっさり乗り換えた。(関係ない事だけど忘れてはいけない事かもしれない)

当時を知っている筆者からすれば、新しいトレンドに合う商品をYouTuberが紹介している姿を見ると何とも言えない気持ちになる。

 

Ua値=0.6から0.46には開口部(窓ドア)の性能向上と断熱材の密度と厚みを少し変えれば達成出来る。予算の問題はあるが難しい事ではない。

Ua値=0.23は付加断熱(外張り断熱+充填断熱)が必須となる。

 

今後、本当の意味で設計・施工主の本質が問われる時代が来る。断熱等級5から6については何とか誤魔化しながら出来るが断熱等級7は技術が必要となる。

当然だが断熱等級6については、外皮計算を理解していないとオーバースペックぎみで提案される。同じ提案でも最適化されたモノと比べると大きく異なりロスも多くなる。

例えば、熱伝導率が良いけど厚みに対して単価が高い断熱材を使う等。原価で10%高くなると粗利25%設定で約1.3倍コストが違う。売価に反映出来なければ何処かに歪みが生まれる。結果、悪循環になる。

全ての会社に言える事だが、営業と投資に対するキャッシュフローのバランスが大事と言う事だ。

※自社でUaの計算を行い内容を理解しないとダメ。無駄に売価が上がり価格競争力が下がる。結果、粗利率を削り契約を取るので経営が苦しくなる。投資先は熱計算ソフトの導入。現場インテグラル社のホームズ君が最適解だと思う。

 

今回は、温暖地域(首都圏)を主体に記載したが、寒冷地はもっと厳しい市場となるだろう。

将来どうなるか分からないが頑張って行きましょう。

 

ちなみに中古住宅を購入する場合、6地域のみになるが築10年程度で樹脂窓を採用している物件は良物件かもしれない。

現場発泡ウレタンのスキン層と透湿性能について

(株)日本アクアさんがYouTubeで松尾氏と現場発泡ウレタンのスキン層の有無について語った動画を出した。内容はスキン層の有無に関係無く透湿すると言ったものだ。

以前から分かっていた事だが、スキン層がある事で透湿抵抗が有り防露性能が生まれる(壁内結露を抑制する)と言う勘違いが多かった。

スキン層が有るから大丈夫と公の場で言い切ってしまう人も少なくなかった。

 

完全にリテラシーの問題だ。

 

寒冷地で建築する場合、フラット35適合証明を受けると現場発泡ウレタン(100倍)の壁に防湿気密シートを施工する様に指示を受ける。住宅支援機構の技術部にとって、スキン層の有無は防露性能に影響を与える要素では無いと言う事だろう。

ココに疑問を抱くのだが、評価や検査を行う人々と現場で設計・施工する人々(一部)の見解が異なる事だ。

恐らく、こう言った点が業界全体の信頼を失う結果につながるのだろう。そして、ご施主様の不信感やYouTuberが〇〇の家・〇〇基準等を売り込む結果につながる。本当に情け無い。

※非定常結露計算や定常結露計算を用いて壁内結露のリスクが無いと証明すれば必ずしも防湿気密シートを施工する必要はない。ただし、性能表示評価協会が指定する室内・外気の設定条件は意外と厳しい訳ではない。私ならどこの地域でも施工する事をオススメする。

この動画の公表はとても良い事だと思う。防露性能を考え結露対策の必要性を問う技術者が圧倒的に正しかった事が証明された。

コストアップを承知の上で、大切な家が結露で傷まない様にと現場発泡ウレタンへ防湿気密シートを施工していた人や室内換気を強化していた人が報われるキッカケに繋がれば良いと思う。

願わくば、(株)日本アクアさんには、現場発泡ウレタンの透湿防水シートへの直吹きについて「透湿防水シート協会がNGを出していた理由について」を動画として出してほしい。

※動画が出たら笑ってしまう。

業界の者なら意味はわかるだろう。

 

透湿防水シートへウレタン直吹きがNGな理由は下記の通りだ。

1.透湿防水シートが膨れて通気層を潰す。

2.ウレタンが毛細管現象で雨水を吸い上げる。

3.ウレタンの発泡熱が透湿防水シートへ影響を与える。

4.透湿防水シートの重ね代からウレタンが出る。

5.ウレタンを剥がして性能を評価出来ない。

※ウレタン原液がシートの目に詰まって透湿しなくなると言う人もいるが、ソコは疑問を感じる。

1〜5の理由があっても法的な規制が有る訳ではない。透湿防水シート協会がNGを出しているだけに過ぎない為、2023年現在でも透湿防水シートへウレタンを直吹きするビルダーは存在する。

実際に雨の日に現場を見るとドン引きする。しっかり吸水して雨の跡がハッキリ残る。タッカー孔からも吸水する。ココは非定常結露計算(ウーフィー様)が評価出来ない部分であり、乾くから大丈夫と言ってはいけない所だろう。そして、室内側へ可変透湿気密シートを施工して有っても乾く訳が無い。

 

コレはあまり問題になっていないが木材の腐朽や壁内結露(夏型と冬型含め)の原因になりかねない。

中古住宅で流通した場合、リノベーションを行う時に壁を剥がさないと確認が出来ない上、問題解決には外壁を剥がす必要が出てくる。コレだけで百万円以上は飛ぶ。耐力面材の再施工等となったら数百万だろう。完全なハズレ物件だ。

私なら割り切って既存の窓を樹脂窓への交換も提案に盛り込んでしてしまうかも(笑)

※現在流通している中古住宅でも、現場発泡ウレタンには注意が必要だ。2012年に透湿防水シート協会はNGを出した。現在、新築住宅でも直吹きを見かける為、築10年はグレーゾーンだ。購入時は、確認申請時の資料に耐力面材の記載がある事を確認しましょう。

 

民法で施主や中古住宅購入者は、強力に守られているが施工業者や仲介業者が存在して初めて成立する。何も無い所に責任は問えない。ある意味死人に口無し。持たざる者こそ最強説の爆誕だ。

 

瑕疵担保責任保険に屋根•壁の雨漏りは適応するが結露は自然現象の為、保証対象外となる。壁からの浸透は漏水になるのだろうか?

 

悲しい事に現場発泡ウレタンが最高と言う技術者はとても多いが、ウレタンメーカーの意向を無視して採用している者も非常に多い。

困ったモノだ。

 

国は住宅の耐用年数に対する壁内構造と評価基準を作り法的に規制すべきだ。35年で価値が0円になる基準で建築を許可しているからアホな事が発生する。

 

結論

現場発泡ウレタンを使用する時は耐力面材を使用しましょう。定常結露計算等で壁内結露のリスクが無くても予算が有るなら防湿気密シートを施工した方が良い。屋根断熱で気密シートが施工出来ないと言うなら野縁を組んで下端に気密シートを施工すれば良い。

予算が合わなければ、あきらめるしかない。

それこそ設計・施工側の提案力だろう。

防湿が無理なら24h換気をしっかりすれば良い。

 

得意げに語る大手ハウスメーカーの営業マンは存在するだろうが実際はモノを知らない。過去の自分が無知な営業マンだったのと同じ。そして、現職の知人も当時の自分と同レベルだ。購買担当と設計担当がわかれば良いと言うだろう。

 

今回、(株)日本アクアと言う社名を出したが否定する内容ではありません。勘違いの無い様に。

 

今日は、良い天気だけどやる事が無いのでスキン層からウレタン直吹き・断熱改修まで語ってみた。割と清らかな心で、紫色のドロドロとしたモノを吐き出し続けている。

 

今回は以上です。

 

 

 

 

断熱性能と今後について

『この家はエアコン何台有れば良いのかわからない、送風ファンで空気を送り込めば温度差が無くなるのかな?全館空調だったら最高だったのに…』アホな会話をしながらフっと思い出した事がある。

 

数年前になるが、改正建築物省エネ法の(国交省主催)説明会に参加した時の事です。

外皮平均熱貫流率の計算が出来る人と計算内容を理解している人が建築業界全体の50%にも満たないとサラッと公表していた。

当時ドン引きした記憶があるが、ソレ以上に知人が『Ua値の計算が必須になったら家を作れ無い業者が出てくる』と愚痴った事が印象的だった。

 

Ua値の計算内容を理解していないと言う事は、燃費計算出来ない人間が車の設計をしている事と同じです。適正な冷暖房機器も選べません。

あれから数年、果たして今どれだけ割合が改善されたのだろうか。

 

国は断熱等級の底上げを行いCO2の削減を試みている。結果、断熱等級6・7を創設したが、技術者の中身が変わらないと同じ断熱等級でも性能とコストに大きく差が出る。結果的にエコでも省エネでも無い残念な家になってしまう。

 

ちなみに冒頭のアホな会話では、『いつもは全館空調とエアコン(天カセ)を組み込んでいる』と言っていた。同エリアで全館空調の下請け業者と話しをすると、『ゼ◯空調を入れた家はエアコンの追加注文が必ずある』と笑っていた。

エリアは5地域です。

 

2023年インフレの影響で普通の家でも原価80万円/坪を超える様になり始めた。でも、人件費は変わっていない。そして、職人が極端に減っています。低賃金な外国人労働者も減っている。本当は、もう1段階価格を上げる必要があるはずだが変化の兆しが無い。予算が合わず、住宅ローンの審査が通らなくなっているからだと思う。

 

恐らく、建築業界は絶賛スタグフレーション中だろう。そして、インフレは終わっていない。

その証拠に首都圏の中古住宅市場を見ると、東京近郊通勤1時間圏内で築10〜15年2000万円代の物件が消え3000万代になってます。中古アパートも路線価から収益計算すると採算が合う物件が軒並み無くなっている。妙味のある物件は既に購入されているのだろう。

 

っと言う事で、新築については、無駄な設備を無くしシンプルな設計が必須です。設備については耐用年数を考えましょう。送風ファンや一種換気は交換時に必ずマイナスになります。日射を考慮せず断熱性能を上げると夏にオーバーヒートして冬は陽が入りません。極め付きは、日本の政策金利はマイナスです。いつか必ず利上げが来る。

 

株価と違い、上がった物価は簡単には下がりません。今新築を購入出来る方は、フラット35を使い、急ぎ建築する事をオススメします。マンション購入は管理費と修繕積立費で苦しくなるはずなので注意。

 

とりあえず、以上。

 

 

 

 

 

 

シーリングファンとサーキュレーター

ネット上でサーキュレーターを使うと温度差が無くなるとか冷暖房効率アップとか、良い事ばかり言っている。でも、現実は効果が無い。

嘘だと思うなら温度計(データロガー機能付き)を置いて見ればよく分かると思う。

*スイッチボットで代用すれば1個2800円程度で検証できる。(床と天井で最低2個必要)

 

断熱性能、気密性能、日射の影響で生まれる温度差は、空気を撹拌した位では埋まらない。シーリングファンやサーキュレーターでいくら頑張っても無駄な抵抗です。

『熱交換換気や循環ファンを新築の設計に組み込んでも上下の温度差を無くす効果は無いと思う』

では、なぜ導入するのか。ソレは効果がある気がするから。最低だ。

 

コレから電気代が上がる。暑い夏が来る。

 

サーキュレーターに無駄な電気を使うより、窓の外に日除を設けましょう。一番効果的です。

 

*熱交換換気の吸排気のフィルター掃除も忘れずに、汚れが詰まって流速が落ちれば結露してカビます。意外と『夏』でも結露します。局所であってもダクト式であっても同じ。理想は4ヶ月に一度の清掃。

SAを直接触れば、夏は熱く冬は冷たい。汚れたら結露でカビ発生。イニシャルの回収率悪い。

アレの良さが本気でわからない。

 

最適な断熱材とは?プロの視点から考える

断熱材について何が良いと思うのかは人それぞれです。YouTubeで最強断熱のワードをよく見るので私も書いて見ました。

 

断熱材選びのポイント

1.長期使用に耐える素材である事。

2.R値(熱抵抗値)で考える。

 *R値㎡•k/w=厚みm÷熱伝導率w/m•k

3.隙間(熱橋)無く施工出来るか考える。

4.リフォーム•解体時手間や費用を考える。

5.コスト。

 

残念ながら最強断熱材なんて物は存在しません。何が良いかは、素材や製品名は関係無く使われる場所への適正とコスト、後始末の問題です。

 

私がお勧めするのは下の2パターンです。

例1

壁•天井:グラスウール+防湿フィルム

床:ボード状断熱材

 

例2

壁:グラスウール+防湿フィルム

天井:吹き込み断熱(セルロースやGW)

床:ボード状断熱材

 

透湿•調湿性能を謳う方々もいますが、セルロースより裸GWの方が透湿抵抗は低いです。

 

セルロースの本当のメリットは、GWの吹き込み断熱を施工出来る業者がいないエリアで対応出来る事かなと思う。

 

吹き込み断熱のメリットは隙間が無くなる事だけど、コストが掛かる上に沈下の可能性がある。

沈下を見越して多く吹き込みするがコストアップになりがち。

その上、熱伝導率が若干悪い。厚みでカバーすれば良いのかな?

 

例1、例2に屋根断熱と基礎断熱が入って来ないのは熱橋が生まれるからです。

 

基礎断熱のメリットは簡単に気密性を高める事が出来る事と凍結防止を省ける以外、メリットはあまり無いです。計算には出てこないが、熱橋が増えて容積が増え分ランニングコストが悪くなる傾向があります。

 

断熱パネルについては、1980年以降の長い歴史の中で普及率は低いままです。都市部では運搬や施工に問題が出る上、熱橋が多い物もあります。

結局、生産性を上げてもトータルコストが悪いのかも。

 

こんな感じでまとめると、とても味気ない物になるがプロの視点で言えば『モコモコしているから温かい』『呼吸(調湿)するから心地よい』等は、ド素人でしか無い。

 

恐らく、例1、例2で、樹脂窓、気密性C値=0.8以下が、後腐れ無く本当の意味で『ちょうど良い塩梅』ってやつ?笑かなと思う。

 

*気密シートで0.8以下は簡単では無いです。