工務店とその意味

ウチは、性能をソコソコにしている。

『ソコソコの性能』と『ちょうど良い性能の家』。

可もなく不可も無い性能。

パッシブハウスとか、インスタでC値=○○とか上げているヤツ。

そう言うのは要らないと言う工務店の経営者に会う時にいつも思う。

ソコソコの性能で良いと語る人って、大抵はソコソコでは無いです。

どちらかと言うと『中の下』以下が多い。

何を持ってソコソコの性能と言うのかは不明だが本気で言っている場合は、要注意。

勉強不足が多い気がする。

建築の勉強はしていないが投資の勉強はしっかりしていると言った感じだ。

やりたい事と言えば、ちょうど良い売価設定で手間を掛けずに売れる家。

工務店と言うより、ECサイトの運営者だ。

 

話は変わるが、1990年代には今の住宅(温暖地域の断熱等級5相当 Ua値=0.6の家)と同レベルの家は存在していた。信じられないかもしれないが寒冷地では意外と多い。

歴史を紐解けば、30年の時を経て本州(温暖地域)で一般化した感じだ。

現在の北海道では、注文住宅の市場においてUa値=0.3前後の家が割と多く存在している。

 

現在の建築業界では一条工務店が『家は性能』として最高性能な住宅を作っている。

注文住宅着工棟数ランキング上位で爆走中だ。

 

日本一安価な『飯田産業グループ』も『ある程度の性能』を持ち始めた。

 

ローコスト住宅の『タマホーム』も 『Ua値=0.23』を売り出した。

*気密性能を具体的なレベルで語っていない。実際どうなるのか気になる所だ。

 

この現状を、一般消費者はどう捉えるのか。

(もちろん、現在のインフレで苦しい状況なのは重々承知の上だ。)

 

創業100年15年黒字経営をこなす工務店の社長は、オーバースペック位でないと資本力のない地場の企業は生き残れないとあっさり言う。包み隠さず、自社の経営方針や運営コスト・粗利率・経常利益を記載したノートを社内で共有している。部外者の私にも見せてくれた。経営に自信は無いが、迷いながらも胸を張って周囲に頑張っていると証明するのだと笑って済ます。

彼が手掛ける家は、断熱等級6・7を基準に自社で全棟構造計算をこなす。

ブランディングや高性能化なんか当たり前ですよ。やらないと次世代にバトンタッチ出来ないですから。(笑)』

 

同じエリアに存在する2社の違いは、同じ業界に身を置く者として深く考えさせられる。

 

ソコソコの性能を語っていたら、10年後に『あの会社に依頼して良かった』とOB客に言わせる事は無い気がする。

 

以前、ZOZOがスタートトゥデイ工務店という名前で新会社を設立した。

建築と無関係なIT企業だ。だが、社名の由来を見ると『エンジニアやデザイナーが職人として、プロ意識を持ち自己研鑽をする職人集団になって欲しい』と記載があった。

※ずーっと筆者の脳内に残っていた言葉だ。

 

恐らく一般消費者のイメージする工務店は、ZOZOの工務店に対するイメージと同じだろう。

 

ソコソコの性能、ちょうど良い家を提唱する人は一般消費者が持つ『工務店のイメージ』とは違う気がする。

 

自宅を建築する際は、必ず経営者の考えを聞いて欲しい。

話を聞きたいと言えば、必ず応じてくれる。

浅い考え・軽い説明で済ませる人は、手掛ける仕事も浅く軽くなる。

 

カッコイイとかお洒落とか、雰囲気が良いとか、安いとか・・・

そんな事より、信用出来る人間か見極めましょう。

代りの者が対応したらソレは、経営者が現場を離れた証拠だ。

建築を依頼する価値が無いかもしれない。

 

正直どんなにネット検索で調べても、素人は玄人にはならない。経験数が違うから。

 

だからこそ、人として対話する事をオススメします。私は、いつも経営者と対話すると『ダメだな』とか『凄いな』とか何かしら感じる。

一般消費者も同じだと思う。

 

何かしら参考になれば幸いです。

とりあえず、以上。