焦って家を買うか検討している人へ

皆さん周知の事だが、今まさに日本が変わろうとしている。インフレの影響やイルードカーブの許容範囲の拡大、金利上昇を見越したメガバンクや地銀の株高。忘れられた30年を終始見てきた私から見ても良い方向へ向かっている機運を感じる。

 

正確には価格が上がるのでは無く、円の価値が減っているだけだ。

物価上昇もゴリ押しで出来た。

給料の上昇を含めた物価上昇率を維持出来れば、金利を上げて、マネーサプライを引き締めようとしているが、タイミングが難しい。他国の足踏みを見計らいシナリオを描いている段階かな?と思う。

ただ、今まさに住宅購入を検討している人はちょっと困る。急がないと価格が上がるからだ。金利も見直されたら住宅ローンも厳しいモノとなる。

ハウスメーカーの展示場で同じ内容の張り紙を見た。

結婚したばかりの知人も焦っていた。

父親に焦らず金を貯めるよう促された様だが何故か聞く耳持たず悩んでいた。

悩みは皆同じだろう。

 

今は時代の変革期。

急激な変化は人を焦らせるが、こう言うタイミングは冷静になるべきだ。

 

コレと似たような急激な変化は、以前も合った。

 

サブプライムローンの問題の時、リーマンブラザーズの破綻劇の時、あの時は経済が急激に悪化していく実感が有った。

ただし、2005年頃から2007年位迄の間は、何故か皆さん浮かれて焦っていた。

驚くだろうが当時ローコストハウスメーカーの展示場には、土日2日間で100組を超える来場が有った。55歳オーバーの建替えも住宅ローンが普通に通った。金利4%。当時、担当していた施主は死んだらチャラだからありがたいと笑ってた。

まさに入れ食い状態で契約が取れた。

あの頃、勢いをつけて成長したのはタマホームだ。

色々と浮かれているうちにサブプライム問題が浮き彫りになり一気に景気が悪化。その後は、建築会社の破綻劇が続いた。2009年の富士ハウスアーバンエステートなんか凄まじい破綻だった。

富士ハウスの破綻時は、某キッチンメーカーも一緒に逝った。売上の依存度が高かったのだろう。

当時、会社が破綻しても工事を引き継げるシステムも有ったが機能していた記憶が無い。

どんな状況でも、客を焦らせるのは営業の役目。

焦らせるトークでジャブとテストクーロージングを掛けて、一気に畳み込むのは今も昔も同じだ。

サブプライムローンの時もしっかり焦って契約していた。アーバンエステートの破綻劇の時、知人が支店長をしていたが前入金の割合を増やす条件で値引きをしていた。本人は朝出社して会社が倒産した事を知って即その場を逃げた。

本気で怖かったと言っていた。

 

昔話はこの位にして。

 

今はデフレからインフレへの転換期。

金利ゼロからの上昇局面への転換期。

国内経済は良くなる方向へ向かっている最中。

 

でも、住宅業界はコロナやインフレの影響による破綻が多い。高性能化や値上がりばかり注目されているが、住宅業界の実体は大変な状況だ。

 

今この状況でも冷静に決断を出す事が出来る人は契約する事をオススメします。

 

理由は、コレから人件費分の値上がりが必ず来るからです。

おそらく売値の10%と予想。ガソリン価格の高騰も有る為、10%の幅を想定。

どの位の期間で価格改定が起きるのかは不明。

地震と同じ予測不能と言ったレベルだが、現在大工さんの数が激減している。

物件数と大工さんの推移がデットクロスする手前にいる。

現場を見ても20代の職人と会う事が無い。外国人の職人も少なくなった。

今はそんな状況だ。職人の単価が上がるのは簡単に想像できる。

 

しかし、焦る必要はない。

 

理由は、既に売値と買い手側の収支バランスが崩れている状況で住宅ローンが追いつかない人が続出。悲し事に強気に値上げ出来ない状態です。

そして、ウッドショックの木材値上げ分は既に以前の単価へ戻っている。

市場は、強気ではなく完全な弱気ムード。

現状、何もしていない状態で今年に入り大手流通業者が2社破綻している。

財務レバレッジを無視して無駄な投資を行なった結果だろう。

 

そして、アメリカの利上げ停止観測と円安。日銀の利上げ観測の一進一退。

この状況が長期間継続するとも思えない。

そして、来年はアメリカ大統領選挙

専門家で無くても何かが起こる可能性が高い事はイメージ出来る。

経済は悪い方向に向かっていないが、変革期の歪みの様なモノは生まれるだろう。

割を食う人も中には生まれるかもしれない。

 

だから、今この状況で冷静に判断出来る自信が無いなら一旦立ち止まる事もアリかも知れ無い。

 

勢いが無いと契約は出来ないのが現実だが、時代の機運に焦って行動するタイミングは良くない事が起こる可能性は高いと思う。

 

着工後に依頼先が破綻した『施主と物件』はヤバイ。屋根屋・外壁工事屋が先に支払いが有るので、金回りが怪しい会社は業者が一斉に手を引く。結局、屋根の施工や外壁も張られずに放置される。透湿防水シートの寿命は2ヶ月野晒しで劣化が始まる。終いにはお化け屋敷の完成だ。

コレを防ぐには、信用調査しかない。

 

私の尊敬する工務店の社長は、『家は現金で買うモノだ』が自論です。本人は、50歳オーバーまで株式投資を行いコロナ禍に一気に利確して家を建てた。ウッドショック真っ只中で。ちょっと、もったいない気もするが本人は満足していた。

結局、本人が満足すれば良い。そんなもんだ。

 

結論、焦って買っても良い事ないからゆっくりでOK。

 

以上。