透湿性と夏型結露について

バイアスの掛かった人はどうしても自分が信じる方へ行くように考え方を構築する。

お題にあげた『夏型結露』が良い例だ。

Haet20設計ガイドブックにも書いてあるが解決策は室内側の防露性能を高めて気密性を確保する事。つまり、防湿気密シートを施工する事が重要と記載がある。

かくゆいう私は、防湿気密シートを施工する事は賛成派だ。

耐力面材での気密・防湿気密シートを施工しない施工や可変透湿気密シート施工については懐疑的な意見を持つ。

 

理由についてはいくつかある。

1.非定常結露計算ソフトWUFIを用いて意見を述べる方は、透湿させる事を優先する考えが多い。提案資料は透湿性が無い構造用合板を外壁側に組み込みグラスウールが結露すると話しをする傾向が強く、調湿性の高い断熱材や可変透湿シートがそれを解消すると言ったデッチ上げが多い。

2.夏場の室内温度を23〜24℃で計算している場合が多い。(過度な温度設定)

3.調湿効果を全面に押し出す断熱メーカーが推奨する場合が多い。特にセルロースメーカー。

夏場の湿度が室内側へ移動してくる事での断熱性の低下を謳わない。潜熱を無いものとしている。透湿するのであれば夏場に室内側の湿気が高まるはずだ。

4.東海大学名誉教授の石川廣三先生の本には防水紙側からのタッカー穴からの漏水が原因となる場合が多く中途半端な防水性能が仇となるとはっきり記載している。タッカーからの漏水は実際によく見る事だ。ウレタン直吹がダメな理由その1でも有る。

5.仮に外気側が総体湿度80%であっても通気層が機能していれば蒸気圧が高まった壁内の湿気は通気層に移動するはず。

個人的には現実ほぼコレで問題が起きていないと認識している。

 

理由を挙げればキリがない…

唯一ハッキリ言える事は、今まで防湿気密シートを施工した現場で夏型結露のクレームを受けた事が無い。10年以上採用しているが防湿気密シートが原因となる事故は起きていない。

 

逆に気密施工を省いた住宅で、エアコンの風が室内側の壁に直接当たって結露した場合はある。

透湿効果が夏型結露を抑制するなら結露はしないはず。

 

そして、可変透湿気密シートを施工した現場を見学した際に、夏場の室内側相対湿度が低い事を経験した。透湿するなら室内側の湿度が高くなるはずだが高く無い。

 

ハッキリ言えばリテラシーの問題なのかも知れない。どう売るのか?と言った所かな。正直、恐怖営業とステマに思える。

 

温暖地域の自称有識者(セルロース施工業者)の方々に多く見られる気がする。本人達は本気で信じているから始末が悪い。

 

キツイ現実だが、WUFIを使ってグダグダ語る断熱施工業者に夏型結露に対して保証するのか聞くと断熱施工業者なので保証はしないと言う人がいた。そして、結露は自然現象なので住まい方によって発生する場合もあると言う始末。

計算上、透湿性が有る断熱材を使用して調湿可変気密シートを施工すれば通気層も省けるはず。

意味がわからない。

(WUFIは軒換気の有無や通気層の流速条件の設定は無いはずだから意地悪な質問だと承知している)

 

毎度、胸の黒いモヤモヤを吐き出すだけになってしまうがコレが建築業界の現実だ。施主が疑ってYouTubeで情報を集める気持ちもわかる。

YouTubeの情報も安易に信じてはいけない。

 

結論を言えば、本当に重要事は断熱材をしっかり充填し通気層を十分に機能させる事が大切。

断熱材は何でも良いと思う。コスパが重要だ。

また、軒換気は防水性能を法律で規制していない為、しっかりした物を使用する事が重要だ。

※通気と防水の重要性は石川先生の本を読めば理解出来る。

 

セルロース断熱について言ってしまえば施工後10~20%沈下する。沈下するから、多く吹き込むと言うが実績を証明する事は出来ない。証明するなら現場で施工済みの袋を確認して計算するのみだ。そして、施工密度55kgと25kgの熱伝導率0.005しか変わらない。JIS規格の問題なのかな?

容積比熱が高いのも湿気を多く含みからなのでは?と考えてしまう。湿気を含めば熱伝導率も下がる。悪く言うつもりは無いが、色々考えると採用に至らない。信用が出来ないからだ。

 

何が正しいのか考えると本気で沼にハマってしまう。

とにかく、防湿気密シートを施工した現場は事故が起きていない。私には透湿性の高い断熱材も可変透湿気密シートも必要がない。

とりあえず良しとする。

 

今日はココまで。